サンパウロ州地裁が26日、サンパウロ市での都市不動産所有税(IPTU)値上げを認める判決を下した。これにより、2015年度のIPTUは一般住宅で最大14・4%、商用地で最大29・4%まであげることが可能となり、約160万世帯に影響が出ることとなる。27日付伯字紙が報じている。
IPTUの値上げは、近年のサンパウロ市での不動産価格急騰に対し、IPTUの算出法がおかしいと感じたフェルナンド・ハダジサンパウロ市市長が、算出法の改正と共に提案したものだった。同市市議会が13年10月に承認した案では、2014年度のIPTUについて、一般家庭で最大20%、商用地で最大35%の値上げを認めるもので、15年以降も段階的に値上げを行うことになっていた。
だが、この方法だと、中央部を中心とした値上げ対象地域に住む高齢者らの暮らしが圧迫されるなどの理由で、民主社会党(PSDB)の市会議員やサンパウロ州工業連盟(Fiesp)が値上げ阻止のための行動を起こし、13年12月11日にサンパウロ州地裁が同案差し止めを命じる暫定令を出した。サンパウロ市側は上告したが、12月18日にサンパウロ州高等裁、同20日には連邦最高裁にも却下され、IPTU値上げは見送られた。
だが今月26日、サンパウロ州地裁の特別委員会で行われた判事投票で、このIPTU問題に関し、26人の判事のうち17人が値上げに賛成票を投じたことにより、13年12月の暫定令が却下されることになった。
この判決後、ハダジ市長は、IPTUの値上げ分を14年度分にさかのぼって適用することはしないと発表した。15年度のIPTUは13年度のIPTUに承認された率を掛け合わせたものとなるため、事実上のIPTUの値上げ率は、14年比で一般家庭で最大14・4%、商用地で最大29・4%となる。
また、サンパウロ市96地区のうち、北部や極東部、極南部などを中心とした計53地区は値上げ対象外となる。また、残り43地区でも年間インフレ率を超える値上げが予想されるのは26地区だという。その大半は中央部から南西部にかけてで、15%を超えるのは中央部のブラスとセーの2地区になりそうだ。
サンパウロ市市役所によると、一般家庭でIPTU値上げの対象となるのは全体の48%で、12%はIPTUが値下がりし、40%は免除になる。
また、3年間でIPTUが調整される建物の場合は16年、17年にも値上げが行われる。この場合の値上げ幅は、一般家庭で10%、商用地で15%という上限が設けられる。
この判決に対し、PSDBをはじめとする市議会の野党議員らは強い反発を示し、上告を示唆した。Fiespやサンパウロ工業センター(Ciesp)は最高裁への告訴も辞さない構えでいるという。
判決通りにことが進むと、15年のサンパウロ市は約8億レアルの税収増が見込まれ、それをインフラや保健衛生などへの投資に回すことが可能となる。
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