ナシオナル製鉄会社(CSN)が24日、同社が持つ鉄鉱石資源と日韓台の企業連合が資本参加しているナシオナル・ミネリオス(株)(Namisa)を統合すると発表したと25日付伯字紙が報じた。
ナミザは2007年、CNSの全額出資子会社として出発したが、2008年11月に、伊藤忠商事と新日本製鉄、JFEスチール、住友金属工業、神戸製鉄所、日新製鋼、韓国鉄鋼最大手のPOSCOによる企業連合(コンソーシアム)が、31億2千万ドルで資本参加した。現在は、新日本製鉄が抜け、台湾の中国鋼鉄が加わった企業連合が株式の40%、CSNが残りの60%を持っている。
そういう意味では、CSNはナミザの大口株主と言う事になるのだが、アジア系の企業連合が資本参加した時点で交わされた合意には、共同経営者のいずれかがその責任を果たさなかった時や事業進展の上で合意できない時は、一方が他方の資本参加分を買い取るという条件が付いていた。
新日本製鉄が抜けたのは、CSN側が約束していた16億レアルの投資が遅れた事などで、ナミザの拡張計画の実現が遅れ、アジア系の企業連合がナミザから撤退する事を検討し始めたためだ。
これに対し、企業連合の資本参加分買い取りによる負担増を避けたいCSNが交渉を継続。2013年7月と設定されていた撤退期限を延長し、1年半に及ぶ交渉を続けた結果、21日に合意が成立。CSNが所有する鉄鉱石関連資産(ミナス州のカーザ・ダ・ペドラ鉱山)や輸送関連のインフラとナミザを新会社に統合する事になった。
CSNはカーザ・ダ・ペドラで年間約4千万トンの鉄鉱石を生産しているが、ミナス州でのナミザの鉄鉱石生産量は2千万トンとされている。投資銀行のBTGパクトゥアルは新会社でのアジア系企業連合の保有株式は15~20%と予想しているが、CSN側はその比率をもっと低く抑えたいようだ。
CSN側は、この合意は鉄鉱石の採掘や輸送、販売の経費節減のための戦略的なものというが、現在の同社は鉄鉱石の国際価格が1年間で50%値下がりして70ドル/トン前後となった事で利益率が低下。第3四半期の決算は176億レアルの赤字となっており、アジア系企業連合が撤退した場合は、その負債が更に膨らむ状況だった。
合意内容は今後、CSNとナミザ双方の経営審議会にかけられる。両社の経営審議会は12月12日までに開催される予定で、新会社の概要などは、その後に改めて発表される事になる。
24日のサンパウロ証券市場でのCSN株価は一時6・7%まで上昇したが、最終的には1・2%高でひけた。
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