ジウマ、苦汁の経済スタッフ選出―。11月27日に第2期ジウマ政権の財務相と企画相、中央銀行総裁が発表され、その初会見で、社会政策よりも経済安定を優先という主旨の発言があった▼新経済スタッフの引継ぎ用執務室は大統領府の中にあり、官房長官を通さずに大統領と会談できるとか、労働者党(PT)内から「自政権の顔である社会政策が削減されかねないとの不満の声が出ている」との情報を裏付けるような会見内容から垣間見られるのは、経済悪化の実情だ▼新経済スタッフ最大の任務は国内外での信用回復で、そのために必要なのが基礎的収支の黒字目標を明確にする事とその目標の達成だ。黒字達成は歳入増加と歳出縮小が大前提で、歳出抑制のためには社会政策の一部を凍結または縮小せざるをえない▼PT政権は「飢餓ゼロ」や「極貧撲滅」「社会格差縮小」を謳って選挙戦を勝ち進んできただけに、その凍結や縮小の必要があるといわれれば面白くないと騒ぐ党員がいても当然だ。だが、現在のブラジルは基礎的収支の黒字達成が危ぶまれ、黒字目標に柔軟性を持たせるための法案提出という流れにあり、国際的な信用格付引下げの可能性がある▼そういう意味では、ブラデスコ銀行元幹部で信用格付会社にも顔が利くレヴィ氏を財務相に据えた事は、苦汁でも賢明な選択だ。同氏は国際通貨基金で働いた事もあり、大統領選の対立候補だったアエシオ氏の経済政策立案にも非公式に関係。歳出削減のために大鉈を振るうであろう事は明らかで、大統領やレヴィ氏らへのPTからの圧力は大きい筈だが、国の経済安定と信用回復のために踏みとどまれるよう、エールを送りたい。(み)