商工開発省が1日、11月の貿易収支は23億5千万ドルの赤字で終り、今年の貿易収支は2000年以降初となる年間赤字を計上する事になる見込みと発表したと2日付伯字紙が報じた。
11月の貿易収支は通常、黒字となるため、23億ドルの赤字という結果は市場関係者を驚かせた。1998年以降、11月の貿易収支は赤字になっても2億~10億ドルで終わっていた。
政府関係者は11月始めまで、11、12月は黒字計上月だから年間の収支はわずかながらも黒字で終ると考えていた。だが、政府関係者がその時期に予想した鉄鉱石価格の回復や牛肉輸出の増加、石油関連の収支改善はどれも起こらず、11月の貿易収支は同月としては史上最悪の結果で終わった。これにより今年の累積赤字は総計42億2千万ドルに膨れ上がり、年間赤字は避けられない状況となった。
11月の輸出は156億ドルで、昨年同月比で工業製品(完成品)が31・7%、同半完成品が6・2%、コモディティも25%減少した。この結果、今年の累積輸出額は昨年同期比25%減となり、3年連続で前年同期を下回った。国や地域別の輸出は米国と東欧を除く全ての国や地域で減少。工業製品を中心とするアルゼンチン向けの輸出が26・9%減った事は、各方面に大きな影響を与えている。
一方、11月の輸入は180億ドルで、こちらも9月を境に2カ月連続で縮小。1~11月の累積輸入額は昨年同期比で5・9%減となった。
11月の輸出総額と輸入総額の和は336億4200万ドルで、昨年同期の399億8400万ドルより15・9%減った。これら諸々の結果からは、コモディティの国際価格低下や輸出相手国の景気悪化といった外的要因と共に、ブラジルの経済活動が落ち込んでいる事も窺われる。
ブラジル工業界が国際的な競争力を失いつつある事は以前から指摘されていたが、貿易収支が予想以上に悪化した事で、税的負担や輸送経費の軽減、輸出入の際の手続きの簡便化などがこれまで以上に求められそうだ。
次期商工開発相に指名されたアルマンド・モンテイロ・ネット上議(62、ブラジル労働党・PTB)は1日、今年の工業化製品輸出額が10%減っている事への懸念を表明。戦略パートナーとの合意拡大や工業界革新のための投資拡大などにより、交易政策の活性化を図る事を約束した。
貿易収支の悪化は所得収支やサービス収支などを加えた経常収支悪化も招く。今年の経常収支赤字額は外国投資だけでは埋め切れないため、今後は、外国投資をいざなう方法の創出や外貨準備高の取り崩しなどにより、国際的な負債を増やさない工夫も必要となる。