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基礎収支算出変更法案=審議中に議会が紛糾=抗議活動家が退出求められ=野党側は民主主義叫び反対=翌日も緊張した状態続く

 連邦政府の基礎収支の算出法の変更を求める法案の審議が2日、議会内の警察動員などによって紛糾し、審議が再延期された。3日付伯字紙が報じている。

 14年の基礎収支の黒字目標達成が難しくなっているため、ジウマ大統領は同収支の算出法変更を求めている。同法案が通れば、経済活性化計画(PAC)などの経費を一般支出から除外できるようになり、公債の利子支払のための基礎収支黒字額の確保が可能となる。連邦政府にはかなり都合の良い内容だ。
 そうしたこともあり、「大統領は目標を守れないことを法改正で正当化しようとしている」として、野党を中心にこの改正法案に反対する声が強く、議会での審議は11月25日以来、先延ばしにされてきた。
 なんとしても法改正に持ち込みたいジウマ大統領は1日、同改正案や予算案承認を条件に、連邦議員1人につき74万7500レアルの追加となる総額4億4470万レアルの議員手当て増加の大統領令を出した。だが野党側議員は、これを大統領からの脅迫と受け止め、反対を続けた。
 11月25、26日に延期となった同改正案の審議は2日に再開されたが、会議冒頭に議会につめかけた審議反対者200人の入場要請が審議され、50人の入場を認めるなど、物々しい雰囲気が漂った。
 傍聴者たちは、与党のヴァネッサ・グラッジオチン下議(ブラジル共産党・PCdoB)が収支算出法改正を擁護する演説中に「キューバに行け」「ヴァガブンダ」などの暴言を飛ばした。
 これを不快に感じた同党のジャンジーラ・フェガリ下議がレナン・カリェイロス上院議長に、傍聴席から抗議者を撤退させるよう求め、同議長が警備係に抗議者を退席させるよう求めたことで混乱が生じた。
 抗議者の傍聴を認めるよう要請したのはジウマ氏と大統領選を争ったアエシオ・ネーヴェス上議(民主社会党・PSDB)で、同上議は「連邦政府の法案はブラジルに損害を与えるものだ。それなのに労働者党(PT)は国民が議会に立ち入るのも禁じようとしている」と抗議。議長命令を聞いた野党側下議15人が傍聴席に駆け上がり、抗議者撤去を阻止しようとしたため、警備担当の議会警察と抗議者や与党議員が揉み合いとなった。
 この混乱で、議会警察の一人が歴史の教員のアレッシャンドレ・セルツさん(27)にテーザー銃を使用。PSDB党員のルッチ・ゴメス・デ・サーさん(79)が取り押さえようとした警官のネクタイを掴んで抵抗する姿も目撃された。
 抗議者は「ブラジル自由運動」や「デモクラシア・ジャー」などに所属し、1時間以上、「レナン、出て行け」などと叫んで反抗した。混乱は議場にも及び、議員たちが罵声を浴びせあったりする事態が生じた。
 混乱を見たレナン議長は2日の審議を再延期した。翌3日も抗議者が議会前に集まり、傍聴席への立ち入りを求めたが議長が拒否。物々しい雰囲気の中で審議に入った。