11月28日に公開されたばかりのサンパウロ市中央部ルーズベルト広場のスケートボード用コースが、翌日には落書きの被害に遭った。同広場の管理を担当するSkatenuts社はスプレーなどを使った落書きを抑止するため、同広場のコースを壁画アートで飾ることにした。5日には4人のアーティスト達がデザイン案を提示し、市役所の選考を待つことになる。
同社マーケティング部長のマリアナ・ベレヌッチ氏は、「落書きを消すためにペンキを塗りなおすだけだと、翌日にはまた落書きされてしまうでしょう。でも、スケートボーダーたちも壁画アートなら尊重してくれるはずですから、これはよい解決案となると思います」と述べた。
4人の壁画アーティスト達は同広場の常連で、今回も広場に来たところでSkatenuts社の人から声をかけられた。サンパウロ市側が図案を決めるまでには、最大で1カ月位かかる見込みだ。
プロスケートボーダーのルーカス・シャパラル氏は、場所に溶け込んだものなら壁画アートを支持するとし、「表現の自由だから落書きも別に嫌いじゃないけど、壁画アートは歓迎だよ、それが広場の雰囲気にあったものならなおさらね」と語った。
スケートボーダーの「リカルド・デクスター」こと、リカルド・フェルナンデス氏は、「アートと落書きは違うよ。落書きは良いイメージをもたれていないし、そのせいでスケートボーダーたちが偏見の目で見られることになりかねない」として、コース内のアートがスケートボードに向けられる否定的な視線を覆す助けにもなりうるとの見方を示した。
広場付近に住み、かつ働く学芸員のダリオ・ブエノ氏は、今回の広場に壁画を描くというアイデアは実現性が高いとし、「同じ〃かく〃なら、選ばれたアーティストが社会的メッセージを込めて描く芸術作品の方がいいに決まってるよ。スプレーの落書きは芸術じゃないから」と述べた。
しかしながらブエノ氏は、スケートボードコースの存在は広場に集まる人に対して障害になってもいるとし、「スケートボーダーたちが専用コースにとどまっておらず、広場全体、それも広場に面する建物の前にまで広がっており、明け方まで騒音を立てている」と苦言を呈した。
同地域を統括するセー区役所は文書で「落書きは調和のある市民の共同生活に寄与しない」とした上で、スケートボードは芸術であり、その場所に壁画アートが描かれるというならば、行政側も壁画アーティスト選定のプロセスに協力する意向である事を表明した。
広場には18カ所を監視できるカメラが設置される事になっており、スケートレーンにはさらに二つのカメラが設置される。「一つは市の警備隊や軍警が自由に見られるようになる。もう一つはスケートボーダー達が自分の技を録画したりするのに使えるようにする」とベレヌッチ氏が語った。監視カメラは2015年の半ばまでに設置される予定である。