中央開発コーポレーション(CKC)が行なう日本農林水産省の「平成26年度 中南米日系農業者連携交流委託事業」で、株式会社「フードランド」(静岡県浜松市)の中村健二代表取締役(54)が来伯し、29日にサンパウロ州ピラール・ド・スール市内で講演会を行なった。同氏は、自身の出身地でもある静岡県三ケ日の名産品みかんを最大限に活用した、多角的事業を紹介した。
フードランドは1931年に創業、現在は総合食品・食肉業務用卸販売・給食請負などの事業を展開する。2007年に出荷不適格の三ヶ日みかんを独自の技術でまるごとピューレ化した「三ヶ日みかんピューレ」を開発、老舗菓子店やホテル・旅館等で活用され好評を博している。経産・農水省の「地域産業資源活用助成事業者」にも認定された。
同氏によれば、三ケ日みかんは年間約3万5千トン生産されるが、摘果(間引き)で廃棄される量は30万トンと言われる。地元住民は総じて〃ゴミ〃としていたが、「もったいない」との妻の指摘をきっかけに、20年以上前に有効活用への試行錯誤を開始した。
「初期に試みたジュース生産では、果汁1トン分を絞るたびに1トンのゴミが出てしまい、廃棄費用がかさんだ。まるごと摩り下ろしても不味かった」と振り返る。食肉業用パパイン酵素で絞りかすを溶かそうとするも、失敗を繰り返した。
しかし様々な酵素を試した結果、7年前に独自の技術で液状化を実現。「果汁飲料は誰もが生産するが、液状化みかんは世界で唯一。競合他社はいない」と胸を張る。
「画期的なアイデアは、既存の考えを新しく組み合わせたものにすぎない。肉屋と農業の経験が相まってピューレが生まれた」と総括し、「ゴミをダイヤモンドに変えることが出来る。価値を見出せない廃棄物が皆さんの周りにはありませんか?」と問いかけた。
参加者は「目から鱗。価値がないと決め付けるのは良くない」「一工夫で農村復興が実現するかもしれない」「常に柔軟な発想を持たないと」と刺激を受けた様子で感想を口にした。
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