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ジウマール・メンデス判事(Fellipe Sampaio/SCO/STF)
ジウマール・メンデス判事(Fellipe Sampaio/SCO/STF)

ジウマに選挙会計拒否の可能性=メンデス判事も不正疑う=企業献金の限度額超えなど=PT陣営は驚きを隠さず

 高等選挙裁判所(TSE)の監査官らが8日、TSEに、ジウマ大統領の選挙キャンペーンでの会計報告と労働者党(PT)の会計報告の承認を拒否するよう求めた。TSE副長官のジウマール・メンデス判事も、「企業が限度額を超える献金を行った可能性が強い」との見解を示している。9日付伯字紙が報じている。

 TSEの監査官によると、ジウマ氏は大統領選のキャンペーンで3億1900万レアルの献金を集め、3億1836万レアルを支出したとTSEに申告しているが、同監査官らは、収入で4%、支出で14%の不正を確認したという。PTの報告書では収入で18%、支出で10%の不正が確認された。
 不正が疑われているのは、「提出期限を守っていないものがある」「中間報告と最終報告の間の矛盾」「選挙活動に公用機を使った費用310万レアルが還付されていない」「献金者の名義の矛盾や受け取った献金の登録漏れ、領収書のない支払い」「PTが87万4300レアルを支払ったサンタカタリーナ州フロリアノーポリスの企業UMTIが選挙キャンペーン開始後に領収書を切る資格を得た」などだ。
 16人の監査官が作成し、8日にジウマール・メンデス判事に提出した報告書は、選挙検察庁が48時間以内(10日まで)に分析する。この段階で問題ありと判断された場合は、同日中にTSEで裁判が行われる。その際の報告官はメンデス判事で、同判事が最初の投票者となる。
 メンデス判事は既に5日、「(五つの企業が)献金限度額を守らなかったと強く疑われる痕跡がある」と判断し、歳入庁に各社の情報を調べるよう求めている。企業の政治献金は選挙前年の純利益の2%までと定められているが、これら5社はPTに約883万レアルの献金を行っている。
 これらの状況を受け、PTは8日、ルイ・ファルコン党首を筆頭に記者会見を行い、反論を行った。PT陣営は今回のTSEの反応に驚きを隠せないといった表情で、選挙キャンペーンの会計を務めたエジーニョ・シウヴァ氏は「キャンペーンでは企業献金が限度額を超えたか否かを判断することなどできない」と弁明。PTの弁護士のフラヴィオ・カエターノ氏らは「TSEが選挙キャンペーンの会計報告を拒否するというのは異例の事態だ」と語った。
 TSE監査官は2006年の大統領選挙でもPTとルーラ氏の会計報告の拒否を訴えたが、そのときはTSEの判事投票5対2で「重大な問題はない」と判断された。
 元最高裁長官で現在も同判事を務めるメンデス氏は、民主社会党(PSDB)のカルドーゾ大統領時代の2002年に最高裁入りした。選挙戦の会計報告を審査する役は昨年11月に前任者が抜けたために抽選で回ってきたが、就任時に会計監査は厳しくすると宣言していた。10日の裁判で会計報告が承認されなくても、18日の当選者への認定証授与は行われるが、その場合は認定取り消しを求める裁判が起こされる可能性が生じる。