サンパウロ市のタクシー運転手のアジウソン・ルイス・ダ・クルスさん(43)がブラジリアで8日、国連麻薬犯罪事務所(UNODC)によりその倫理的な模範行動を表彰されたと9日付フォーリャ紙が報じている。
今年の6月、クルスさんは自分のタクシー内に乗客が置き忘れた40枚のW杯チケットを返したことで脚光を浴びた。
W杯開幕の日の未明、サンパウロ市で乗せた2人のメキシコ人旅行客が、チケット40枚の入った包みをタクシーの後部座席に置き忘れた。クルスさんは一方の乗客の名前を知っていただけだったが、2人を乗せたモルンビ区のホテルに引き返し、無事にチケットを持ち主に返すことができた。
「これまでに一度もこんなことが起きたことは無かったよ。大臣たちの隣で挨拶したんだ。皆が称賛してくれたけど、固くなったね」とクルスさんは、フォーリャ紙の取材に対し答えた。
1カ月ほど前、フォーリャ紙取材班はクルス氏の電話番号を求めるUNODC広報部から、「クルス氏は倫理的模範行動をした人物として表彰されます」との連絡を受けていた。
UNODCは8日、国庫庁(CGU)と共に9日の世界反汚職デーのプレイベントとして、連邦検察庁、各州検察局、連邦警察局(DPF)、連邦会計検査院など、各機関代表者の列席のもと、今回の表彰を行った。
「とっても幸せだったよ。家族も友達も喜んでくれたし、良い行いは続けなきゃね」とクルス氏は述べた。