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ジャノー検察庁長官=グラッサ総裁らの更迭望む=「世界汚職撲滅デー」に=ペトロロンに対し痛烈批判=連邦政府はすぐに猛反発

 「国際汚職撲滅デー」の9日、連邦検察庁のロドリゴ・ジャノー長官は、現在話題のペトロブラスでの諸々の汚職問題「ペトロロン」を痛烈に批判し、同公社のグラッサ・フォステル総裁を含む首脳陣の交代まで求める演説を行った。困惑したジウマ大統領は急遽、ジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ法相に反論の会見を行わせるに至った。10日付伯字紙が報じている。

 9日、ブラジリアで連邦検察庁主催の「国際汚職撲滅デー」にちなんだイベントが行われ、そこでジャノー長官がペトロロンに関して厳しい言及を次々と行った。
 ジャノー長官は、ペトロロンは「ブラジルを混乱に陥れ、同社を食いつくすと共に国家の信頼や富を腐食させるような病気を生じさせた」とした。さらに同事件に関与した人物に関しては「不正で得た金で肥えたままには断じてさせない」「犯罪者は監獄に入り、本来なら国庫や国民のために使われるべき金を返さなければならない」「公職にある者と悪い企業家との不正は黙認できない」などと続けた。
 同長官はペトロロン告発につながった連邦警察のラヴァ・ジャット作戦の捜査陣立上げの責任者で、近日中に政界関係者を最高裁に起訴する準備を始める。1月には米国にも捜査官を派遣し、同国法務省の協力の下で、ペトロロン絡みの資金洗浄を行った犯罪者の国外口座の捜査などを開始するつもりだ。同様の捜査はスイスとオランダで既に行われている。
 ジャノー長官は、国民はペトロロンの責任者が罰せられることを望んでおり、「誰に責任があり誰には責任はないと言うことはしないが、同公社理事会メンバーの交代も含むしかるべき再編が求められている」と発言し、グラッサ総裁らの解任を求めた。
 ジャノー長官の発言は連邦政府の耳に届き、ジウマ大統領を困惑させた。グラッサ総裁はペトロロンが行われていたとされる時期はガス・エネルギー部部長だったが、現時点では金銭の授受などの疑惑は持たれていない。また、他の理事たちもラヴァ・ジャット作戦の容疑はかけられているわけではない。
 ジウマ大統領は同イベントにも参加していたカルドーゾ法相から発言の内容を聞き、同日中に緊急記者会見を行わせた。同法相は先のイベントで同公社内での汚職が「実際に行われていた可能性が強い」としていたが、記者会見では「グラッサ総裁はじめ、ペトロブラスの現上層部に対する容疑は出てきていない」とし、政府としては更迭の意思はないと断言した。
 ジウマ大統領は「国際世界汚職撲滅デー」に寄せ、自身の公式サイトで「私は一貫して汚職への怒りを表し続けて生きている」とのメッセージを発した。
 ジャノー長官はこの日、ブラジルの汚職の状況に関し「嘆かわしいことにブラジルは極めて汚職にまみれた国だ」と語った。2日発表の世界汚職ランキングでの腐敗度は低い方から69位で、先進国や新興国の中ではかなり低い順位に終わっている。