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FGV=パ校優秀生に初の日本人=ケンブリッジ 山内翼さんが初受賞=「人間関係に心を砕いた」

 南米トップのビジネススクールとして知られるジェトゥーリオ・バルガス財団(FGV・Fundaçâo Getùlio Vargas)のMBAコース卒業式が3日、サンパウロ市のイベント会場「HSBC Brasil」で行われ、卒業生とその親族ら約千人が晴れの日を祝った。難関パウリスタ校で日本人として初めて表彰台に立った山内翼さん(31、埼玉)は、壇上で記念トロフィーを受け取り、「とても光栄なこと」と喜んだ。

 卒業式には約40人で構成される20のMBAコースが参加し、各コースの中で最も成績が良かった者が優秀学生として表彰された。実務経験を有する社会人を対象とした経営学講座を提供するのがビジネススクール(経営大学院)。そこで授与される専門職学位が経営学修士(MBA、Master of Business Administration)だ。
 山内さんは、東京農工大を卒業後、トヨタに入社し3年間務めたが、大学時代に訪れたリオの人々の明るく幸せそうな姿を忘れられず、渡伯のため退社した。
 09年にブラジル日本交流協会の研修事業に参加し、ブラジリアに本社を持つコンサルタント会社「ケンブリッジコンサルタント」で研修を行った。その終了後に正社員として雇用され、当地へ移住した。
 同財団への進学理由について「経営学とポ語の能力向上、人脈形成」をあげる山内さん。同校では約1年半、週2日4時間のスケジュールで金融や企業法、会計、人事管理などを学んだ。
 授業で苦労した点として「ポ語でのやりとり」「納期の重要性や品質向上を求める姿勢など、日本人的な仕事観をブラジル人に強要してしまうことで人間関係を壊さないように心を砕いた」という。
 そんな山内さんについて、企業戦略の専門家で担任教師のファティマ・トレドさんは、「初めこそは言葉の面で心配しましたが、コースの終わりには作文も上手でテストの結果も良く、素晴らしい成長を見せてくれました。ブラジル人学生の考え方を吸収しようと積極的にコミュニケーションを取り、クラス全体を良い方向に引っ張ってくれました」と嬉しそうに山内さんの成長振りを語った。
 山内さんは「ポ語が必須だけど日本人駐在員の方にぜひ勧めたい」と充実した表情で話した。今後の目標として英語能力の向上をあげ、ヨーロッパへの留学も計画している。「今の時代に英語は欠かせない。もう一回り大きくなってブラジルに戻って来たい」と笑顔で話した。