ホーム | 日系社会ニュース | かずま忌=42人が渾身の作句=俳人富重かずま氏を偲び

かずま忌=42人が渾身の作句=俳人富重かずま氏を偲び

 句会「蜂鳥」の元主宰でニッケイ俳壇元選者の故富重かずまさんを偲ぶ「第9回かずま忌俳句大会」が6日、サンパウロ市の文協ビルで開催され、42人が参加した。
 かずまさんの遺影が一同を温かく見守るなか開会式が行われ、先没者へ黙祷が捧げられた。
 挨拶に立った富重久子主宰は、「変化の激しい時代の中で、俳句という心癒される趣味をお互いに持って暮らせることは本当に幸せなことであると思います」と語り、来年刊行30周年迎える句集「蜂鳥」の協力者らを労った。広田ユキ実行委員長、富重俊郎後援会会長らの挨拶の後、富重主宰へ花束が贈られた。
 今年の兼題は「かずま忌」「木下闇」「天道虫」「アラマンダ」と年末一切。参加者は5句を無記名で投句し、互いに7句を選んだ。
 パラナ州カンポス・モウロから初参加の小島八景さん(77、長野)は、俳句の出来について「ぜんぜんダメだよ」との言葉とは裏腹に笑顔で話し、句会を楽しんでいる様子だった。
 特別選者を務めた伊那宏さんは「渾身作ばかりで選ぶのが大変。去年よりも、かずま先生を偲ぶ歌を読む人が多かった気がする」と語った。
 昼食後は披講が行われ、特別選者に選ばれた句の作者には記念品が贈られた。結果は次の通り(敬称略、特選賞=特、次点賞=次)。
 【富重久子選】▼かずま賞「愛しみや句集の名にもかずまの忌」(小斉棹子)▼次「天道虫這はせて狙う大写し」(間部よし乃)【広田ユキ選】▼特「足跡は句に刻まれてかずまの忌」(上田ゆづり)▼次「てんとむしきっちりはねをたたみけり」(串間いつえ)【小斉棹子選】▼特「足跡は句に刻まれてかずまの忌」(上田ゆづり)▼次「可惜夜のあすに備へしかずまの忌」(橘鏡子)【杉本紘一選】▼特「年の瀬に捨てていくもの拾ふもの」(中川敬子)▼次「身の丈に生きて悔なし年暮るる」(田中美智子)【伊那宏】▼特「かずま忌の雲の流れに祈りけり」(畔柳道子)▼次「この岩に神宿るとや木下闇」(森川玲子)【浜田一穴選】▼特「てんとむしきっちりはねをたたみけり」(串間いつえ)▼次「知らぬ虫見る子の真顔木下闇」(菊地信子)。