7月に救急外来を急に閉鎖し、一般市民への医療活動に支障を来たしたサンパウロ市のサンタカーザ病院(SC)が、当初言われていた額の倍近い負債を抱えている事や、薬剤購入などで不正が行われていた可能性がある事が明らかになったと12日付伯字紙が報じた。
薬や絆創膏、ゴム手袋やペーパータオルに至る必需品が不足し、一般患者への対応が急遽中止されたのは7月。医薬品の不足は供給会社への不払いが原因という事でサンパウロ州政府が一部を支払い、28時間後に救急外来が再開されたが、SCが抱える問題は当初言われていた以上のものだった。
救急外来閉鎖で危機的状況である事が表面化した後、保健省や州、市の保健局は病院関係者も交えた公聴会や内部調査を行って来たが、11日に発表された結果からは、再建が非常に困難である事がうかがわれる。
同病院の負債は当初、4億3300万レアルとされていたが、調査の結果、実際は倍近い7億7300万レ(エスタード紙は8億2100万レと報道)である事が判明した。内訳は、職員の給与不払いなどが1億1400万レ、医薬品購入費の不払いが1億400万レなどとなっている。
医薬品の購入に関しては、隣の薬局で1・8レアルのノヴァルジーナが20レ(11倍)で請求されるなど、最大で5千倍の金額を払わされていた可能性がある事も判明。担当のLogimed社は水増し請求などの疑いを否定し、疑惑が指摘されたディピロナについても、同薬は41種類あり、価格も0・25~270・80レアルとまちまちだと弁明した。
不正が疑われる例は他にもあり、シーツなどの洗濯代も1・98レ/キロの契約に対し3レ払っており、余分な支払額は年260万レに及ぶ。清掃を担当する会社も422人分の請求を出していたが、実際に働いていたのは360人。この会社は警備も担当するはずだっていたが、実際は下請けさせていた。
職員の数は1病室当たり21人で、普通の病院の職員数(5人)を大きく上回っている。
ダヴィ・ウイップ州保健局長は、業務契約の内容や履行に関する監査が不充分であった事や、救急外来を閉鎖した時点で金融ファンドに640万レアルの金があった事などが判明し、経営上の疑問点が多々あると指摘。調査結果は州検察局や州会計検査院に報告し、詳細な捜査と分析を依頼する意向も表明した。
2カ月前経営責任者となったイリネウ・マサイア氏は、「負債を分割返済するための交渉や経費削減、契約の見直しなどは既に始めており、時間はかかるが再建は可能と信じている」と述べ、不正が指摘された契約に関しても、厳密に調査する事を約束した。