12月1日からペルーの首都リマで開催されていたCOP20(国連気候変動枠組み条約第20回締約国会議)は、予定より31時間遅れて合意を採択、14日午前1時20分(ブラジリア時間では同4時20分)に閉会となったと15日付伯字紙が報じた。
今会議での合意に基づいて各国が来年上半期に提出する温暖化対策は、2015年に予定されているパリ会議での新たな枠組み作りを加速させるはずだ。パリ会議では、1997年採択、2005年発効の京都議定書に代わる温室効果ガス排出削減目標を決める事になっている。
京都議定書では温室効果ガスの排出削減は先進国だけに義務付けられたが、コペンハーゲンで開かれた第15回のCOP以降、同議定書とは違って、先進国と途上国の双方を含む温室効果ガスの排出削減目標作成の必要が言われてきた。
今回のCOPでは、来年末までの新たな枠組み作成を再確認し、来年2月にジュネーブ、同6月にはボンで会議を開く事と、先進国は3月まで、それ以外の国は6月までに排出削減目標を提出する事が決まった。
今会議での合意採択は大きな前進といえるが、根深い対立も残った。
新興国のブラジル、南アフリカ、インド、中国(Basic)と、より貧しい途上国からなるG77は、先進国は資金援助と技術移転、技術指導の責任も負うべきとしていたが、先進国による資金援助は目標として義務付けられていない。ブラジル代表のジョゼ・アントニオ・マルコンデス・カルヴァーリョ氏は「(この面において)合意内容は思ったほどの進展を見なかった」としている。
一方、BasicとG77は「先進国と途上国はどちらも温室効果ガス排出削減義務を負うが、その程度は区別されるべき」と主張。先進国側は共通基準で削減目標を決める事を求めていたが、14日に採択された文書は、新たな枠組み作成のための先進国と途上国の責任を明確に区別する表現が盛り込まれた。
新しい目標では、達成時期や基準の年、現在よりどの位進んだ取り組みかを明らかにする必要がある。また、洪水や高潮など、温暖化に伴う被害を抑えるための対策を加える事が認められた。
今会議では、米国と中国が温暖化対策で足並みをそろえ、一部途上国の歩み寄りを引き出したとされている。
国立宇宙調査研究院(Inpe)のカルロス・ノブレ氏は、「地球温暖化における責任は先進国の方が大きい事は明らかで、先進国と途上国を区別するのは当然」とした上、「気温が2度以上上がる事を防ぎたいなら、各国の削減目標を一刻も早くまとめ、実行に移す事が不可欠だ」と強調している。