エボラ出血熱の感染者や死者の伸びが鈍ってきているが、西アフリカのシエラレオネでは先日、東部のダイヤモンド鉱山で未報告の感染者らしき遺体が数十体見つかり、同地域の一部封鎖、公の場でのナタール(クリスマス)と新年の祝賀の禁止、市民の外出を阻むための街頭への軍派遣を決めた▼エボラ熱の脅威は今も続き、米誌タイムが〃今年の人〃にエボラ熱と戦う医療関係者やエボラ熱生存者を選んだほどだ。WHO(世界保健機関)が10日に発表した全世界の感染者は1万7942人、死者も6388人に上る▼先に挙げたシエラレオネは感染ペースが他国ほど落ちておらず、10日の発表では感染者7897人、死者1768人。3日の発表より感染者が585人、死者も185人増え、感染者はリベリアの7719人(死者は3177人)を超えた▼従来のエボラ熱流行が今回ほど騒がれなかったのは、シエラレオネ東部の鉱山でのように特定地域に限られていたためだろう。グローバル化で人や情報の動きが大きくなると、かつては気づかなかった地域の事も気になるようになるのだと改めて思い、命の危険を冒してでも前線に赴く医師達の勇気に脱帽する▼ブラジルでは汚職の摘発が続き、私腹を肥やす事しか知らない輩やそういう輩に踊らされる人が多い事を痛感するだけに、他者のために尽くす人々の姿が一層際立つのかもしれない▼主人の口癖は「何かいい事ないかな」だが、得体の知れぬ病や捜査官に脅かされず、枕を高くして眠れる生活はある意味で幸福だ。13年の殺人被害者が5万人超のブラジルだから犯罪に巻き込まれたりする危険はあるが、ナタールや新年は皆で祝いたい。(み)