ホーム | 日系社会ニュース | 在外選挙、投票数伸びず=全伯で958人が投票=有権者数のわずか6%=高齢化、周知不足も
聖市の投票所、援協には601人が投票に訪れた
聖市の投票所、援協には601人が投票に訪れた

在外選挙、投票数伸びず=全伯で958人が投票=有権者数のわずか6%=高齢化、周知不足も

 第47回衆議院選挙の投開票が14日におこなわれ、自民・公明両党が全議席の3分の2を上回る326議席を獲得して圧勝した。小選挙区および比例代表区の投票率は52・66、52・65%と戦後最低を記録。ブラジルでは今月3日から4日間の投票期間が設けられたが、全伯の在外選挙人登録者約1万6000人中、投票所へ足を運んだのはわずか6%の958人だった(在伯邦人数は約5万6000人)。国外在住の有権者を取り込むべく2000年に始まった「在外投票制度」だが、当地における投票者数は年々減少傾向にあるようだ。

 全伯における投票数はレシフェ、マナウスを除く6在外公館で減少、前衆院選より246票下回った。
 ブラジル内で在留法人の最も多いサンパウロでは、在外選挙人登録者約1万2000人超のうち、601人が投票所へ赴いた。2012年にあった「第46回衆院選」の784票を183票下回る結果となった。
 同総領事館の飯田茂領事部長は「戦後移住者が多い印象だった。一人で投票所まで来られない高齢者が多いせいで減ったのでは」と推測し、「もっと駐在員にも選挙人登録をして頂きたい」と話した。
 在ベレン領事事務所でも、「遠隔地に住んでいる人は投票所まで来るのが大変」という。広大な管轄区に1カ所しか投票所がないという状況も、投票数の減少に拍車をかけているようだ。
 直接投票所へ行けない場合は郵送で投票するしかない。しかし、用紙を日本から取り寄せて選挙管理委員会へ送り返す必要があるため、今回のように衆院解散から投開票日までが23日と短い場合(在外投票では12日間)、時間的に余裕がなく郵送投票は困難だ。
 サンパウロ市に次いで減少が目立った在ポルト・アレグレ領事事務所(69人→32人)では、投票者の高齢化に加え、「選挙準備期間が短く、広報の時間が足りなかった」ことを理由にあげた。在クリチバ総領事館(87人→70人)は「年末の多忙な時期だし、関心も低い」とも分析している。
 在外選挙が実施されて14年が経過したが、「在外有権者ネットワーク・日本」によると、選挙人登録者数、投票率とも伸び悩んでいるのが現状だ。同団体は、登録手続きの煩雑さや投票所の少なさなど、在外投票の現行制度が問題であると指摘している。
 ブラジルの全在外公館における投票者数は次の通り(カッコ内は前回の投票数)。在ブラジリア大使館44(50)、在リオデジャネイロ総領事館76(77)、在クリチバ総領事館70(87)、在ベレン領事事務所73(87)、在聖総領事館601(784)、在レシフェ領事事務所27(27)、在ポルト・アレグレ領事事務所37(69)、在マナウス総領事館(28)30。