サンパウロ州小学校教員の環境教育指導力の向上を図るため、1日から8日間、公益財団法人「しまね国際センター」の有馬穀一郎理事長、玉串和代常務理事、小寺真由美総務交流課長、島根大学教育学部の秦明徳教授が来伯した。聖、カサパーパの2市で教育事情や自然環境などの下見調査を行なった。
今年8月にスタートした「JICA草の根技術協力事業」によるもの。3年間かけて、現地に即した環境学習プログラム・教材の共同開発、専門家派遣によるモデル授業、研修員の受け入れなどを行なう。専門家派遣は同年9月に続いて2度目。
2011年に同県を訪れたJICA日系研修員が、同地で環境教育の重要性を認識したことがきっかけとなり、島根・サンパウロ州の間で翌年から「島根サンパウロ児童絵画交流展」が開催されるなど国際交流が始まっていた。今回は更に一歩踏み込み、子どもたちの環境への知識や意識の向上を図る。
秦教授(68、島根)は「こちらでは熱意のある先生が個人的に環境教育をしているだけで、正式なプログラムはない。今一番関心のある水問題から始めて、ゴミなど他の環境問題にも触れていく。発達段階に応じた指導という視点がないので、そういうことも視野に入れてやっていきたい」と今後の方向性を述べた。
プロジェクト・マネジャーを務める有馬理事長(76、島根)は、「カサパーパ市の教育局も、すごく喜んで盛り上がっている。事業が本格的に始まって宣伝されれば、ブラジル全体の先生に関心を持ってもらえるのでは」と期待をこめた。
来年7月は、同市の教育関係者5人が訪日する予定。