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藤間流、文協に怒りあらわ=開催直前に会場変更を通達=舞台作る必要に困惑顔=「芳之丞先生が生きていたら…」

 「何故今ごろになってー」。文協への怒りをぶつけるのは、53年にもわたり毎年1月、文協大講堂で『踊り初めの会』を開いている藤間流日本舞踊学校の関係者だ。8月末に予約していたが文協事務局が、12月の第2週目に多目的ホール(旧体育館)への会場変更を通達した。「ステージを作らねばならず、高齢者も多い観客はパイプ椅子に座ることになる。何故もっと早く言えなかったのか」。11日に迫る本番に向け関係者は大わらわだ。今年8月に亡くなった創立者である藤間芳之丞さんの追悼も兼ねていた。54回目の開催を前に、関係者の怒りは収まらない。

 「工事の時期を後ろにずらせないかと掛け合っても無理だった。大講堂の座席はフカフカだけど、多目的ホールはパイプ椅子。高齢者にとっては体を痛めやすく長く座れない。舞台設営も、業者に頼んで準備しなければならなくなった」と頭を抱えている。
 「大塚プロジェクトの関係もあり、予約時に会場変更の可能性は伝えている」と、中島エドゥアルド事務局長は弁明する。大講堂の再改修は、消防法に関わる屋根の改築が求められており、燃えやすい木製から鉄製に変えなければならないという。
 「クリスマス前から着工できるよう調整している。なるべく早めに取り掛かる必要性に迫られており、やむなくこの時期になった。いつ工事をするにしても何らかの弊害は出る」と続ける。
 大講堂は大塚プロジェクトにより、5~7月にエアコン設置、座席の取替えを行なうため閉鎖したが、8月に安倍晋三首相歓迎会があったため、十分な工事期間を確保できず、屋根の改築は先送りになっていた。工期は最大2カ月で、少なくとも1月は使用できない。
 藤間流関係者は言う。「私たちは週3回文協ビルに出入りしており、いつでも言えたはず。連絡が遅くなったという言い訳はできない。急な会場の変更は納得いかない」と怒りを隠さない。
 「生きていたら芳之丞先生だって同じ思いのはず。でも、お互い歩み寄っていかないといけない」と、最後には落ち着いた様子で話した。


大塚プロジェクト無事終了=完工記念式典、新ホールで


 ブラジル日本文化福祉協会(木多喜八郎会長)は16日夜、大塚商会(本社・東京)の大塚実名誉会長からの寄付金1億円によるビル改修計画「大塚プロジェクト」の完工式典を行なった。
 13年3月の目録贈呈式から1年半あまり。大講堂、体育館、移民史料館の改修が無事完工を迎えた。
 式典には文協関係者のほか、仲介者の日下野良武氏、本橋幹久・県連会長、菊地義治援協会長、福嶌教輝・在聖総領事ら約150人が参加した。
 正面玄関、大講堂、旧体育館、展示室、3階の移民史料館事務所がお披露目され、さらに宮坂国人財団の協力によって小講堂に5台のエアコンが設置されている。大講堂前サロンに関係者が集まり、ビル内5カ所に設置された記念プラッカを除幕した。
 多目的ホール(Espaco Multiuso=旧体育館)であった式典で、木多会長は工事の遅れを詫び、「年内の終了に一安心。来年は日伯外交樹立120周年、文協創立60年と重要な年。多目的ホール、大講堂を有効活用してほしい」と願った。福嶌総領事らも祝辞を寄せた。
 日下野氏は、豪華客船『飛鳥2』での大塚名誉会長との出会いなどを振り返り、「先月お会いしたときも相変わらずお元気だった。完工を最も喜んでおられるのは大塚さん」と話し、「来月には再び豪華客船でブラジルをテーマに講演します。もしかしたらまた寄付の話が出るかも? 期待しないでお待ちください」と笑いを誘った。
 山下譲二副会長が大塚名誉会長の祝辞を代読し、「日下野様からお話を伺い、日系人のがんばりと、ブラジル内での評価の高さに感銘を受けた。安倍首相の来伯時も空調の整った快適な環境となったことを嬉しく思う。日系社会の益々の活躍を期待する」と伝えた。
 パイネイラ、ピッコロ、文協のコーラス3団体が合同で歌声を披露し、カクテルパティーで新装開店を祝った。
 またイビラプエラ公園内の日本館シロアリ駆除にも、同プロジェクトの資金が充てられているが、来年5月の改修工事後に実施される。