初期移民を描いた映画「ガイジン」の山崎千津薫監督が、ブラジルを代表する日本移民芸術家・大竹富江さんのドキュメンタリー映画(35分)を制作した。15日に音と映像の博物館で完成記念会が開かれ、いち早く作品を鑑賞しようと138人が集まった。
2008年の移民百周年で生まれた構想で、大竹さんが97~99歳の時に撮影されたもの。開始から4年の歳月を経て完成に至った。
「ありがちな芸術作品の紹介ではなく、彼女の人柄に迫りたい」(山崎監督)と、メディアにはあまり現れない彼女の人となりや家族との関係性がクローズアップされている。友人や家族との食事風景、制作現場など日常が垣間見える作品だ。
完成記念会の冒頭の挨拶で、山崎監督は「この作品は私個人による大竹さんへの顕彰。飾らず、ユーモアがあり、食べることが大好きな彼女の素顔を知ってほしい」と話した。
上映中は、大竹さんの作品へのひたむきな姿勢やわが道を行く独立独歩の精神に、何度も歓声や爆笑が起こった。
ベス・ロメロさん(32)は「全てが感動的だった。パーフェクトな作品」と笑顔を見せた。
ソニア・バロスさん(68)は「富江さん本人だけでなく、彼女の家族も素晴らしい。作品は、とても心に響くものがあった」と話した。
会場には、昨月101歳となった大竹さんも姿を見せ、上映終了後に観客との交流を楽しんでいた。