毎年、ナタール(クリスマス)の時期になると「カイシーニャ(チップ)」という言葉を良く聞く。受付やレジに靴箱位の箱が置いてある事も多いが、水道や電気のメーターを読みに来る人やゴミ回収の人達もほぼ例外なく「カイシーニャ」と言ってくる▼仕事のある日に来る可能性も高いので、この時期になると何がしかの金を家に置いておき、誰か来たら渡してもらうようにしておくのだが、19日朝は家を出ようと準備をしていた時に呼び鈴が鳴った。この日来たのはエレトロパウロの人で、いつものようにメーターを読んだ後、何も言わずに門の方へ向ったが、請求書を渡しながら「良かったらカイシーニャを」と言ってきた。「ちょっと待って」と声をかけ、心ばかりの金を渡す▼考えようによっては、その仕事をして給料やボーナスももらっているのだから、何でと言いたくなるが、日頃の感謝を表す意味の心づけだと思えば腹も立たない。手持ちの金がなく、「ちょっとで御免ね」と言いながら小銭を渡した時も、金額も見ずにポケットに突っ込むと「良いナタールを」と言って去っていく。週3度通るゴミ回収車の人には、「気は心」とごく小型のパネトーネを人数分持たせた事もあった▼ブラジルに来て間がない頃、物乞いをする人は「相手に良い事をさせてあげている」と考えているといわれた事がある。家の前で手を叩いてお金をくれと言う人の中には酒や麻薬を買う金が欲しくて人の好意を悪用する場合もあるので要注意だが、今年もここまで守られてこの季節を迎えた事を喜び、相手のサービスへの感謝を込めたカイシーニャを渡す内に、今年のナタールもすぐそこに。(み)