最近日本で「医者に殺される」手の本が人気だ。昨年出版されベストセラーになった「医者に殺されない47の心得」(アスコム出版、近藤誠著)という衝撃的なタイトルの本は、なんとがん治療の専門医が書いたと聞き、取り寄せて読んでみたくなった▼彼の提案は「『とりあえず病院へ』はやめよ」「医者に良く行く人ほど早死にする」といった、医者に頼らない健康・長寿法。概要を読んだ限りでは極端な嫌いはあるものの、西洋医学への過信や、医療現場における過度の利益追求を戒める意味で興味深い。超高齢化社会を迎え、自力で健康にという国民の独立精神の高まりがベストセラーに繋がったのかも▼確かに、男女ともに最長寿を誇る長野県は、病院数が全国でも33位と少な目だ。医者が少ないせいなのか、だから努力するせいなのかは知らないが、65歳以上の医療費も44位と低い。医療の充実はある程度寿命を延ばすが、医療に頼るほど健康・長寿になるわけではないことの証明だ▼長野は高齢者の有業率が全国トップで、博物館数、ボランティア参加率、旅行に行く人の割合も高いなど、高齢になっても活発な県民らしい。特に健康長寿村として知られる同県佐久市は、市を挙げて「ぴんころ推進運動」も実施している。こうした県民の意識の高さも健康長寿の秘訣のようだ▼「薬剤師ほど薬を飲まない」とも言うが、数十年、医者通いが趣味と言わんばかりに病院通いを続けるコラム子の祖母は、薬は増える一方で健康になったためしがない。新年を控えて自身の生活を振り返る折に、皆さんも医療との付き合い方を見直してみてはいかが。(阿)