今年はブラジル、日本ともになかなか激動の1年だった。4月に日本はデフレを脱したということで、現政権のもとで消費税が5%から8%にアップされた。
この機に、これまでデフレ下で我慢していた企業の便乗値上げも多く、消費は株高で潤った一部の富裕層以外は大幅にダウンしてしまった。6月にはブラジルでワールドカップが開催。日本は予選で敗退、ブラジルはいいところまで行ったが、エースのネイマールが怪我で途中欠場しドイツに歴史的大敗を喫して終わった。
こちらもワールドカップに合わせて、極端な便乗値上げがあり、消費がダウン。さらに、両国ともドル高で、自国通貨がどんどん安くなっている。本来輸出促進のために、ドル高はウェルカムであったが、両国とも期待したように輸出が伸びず、貿易赤字に陥り、まったく想定していた結果に結びついていない。それにも関わらず、その後ブラジル、日本ともに選挙があったが、どちらも与党の勝利で終わった。
現在のグローバル経済において、為替は本当に誰も予想できず、政治もあてにならない極めて難しい課題だが、これを避けては今後ビジネスが展開できない。
3−4年前に市場調査をした際には、レアル高で輸入しても十分競合と戦えると思って進出を決めた企業が、会社設立の諸手続きが完了して体制が整った頃にはレアル安になっていて、輸入ではとても勝負にならない状況になることもある。
これをすぐに、新興国は為替が不安定だからビジネスが難しいというところに逃げてしまいがちだが、今年のはじめと終わりで比べると、円はドルに対して約15%ダウンしているが、レアルはドルに対して12%ダウン、さらに円とレアルは6%ダウンしただけである。実は、円の方が対ドルで考えると、より為替変動が激しくなっている。
やはり、ブラジルでビジネスをする際は、常に現地生産もしくはアセンブリを出来る体制を考慮しながら展開をする必要がある。為替はブラジルに限らず、今の時代はどこにいてもついて回る問題である。
そういう意味でも、日本であれ、ブラジルであれ、現代は3年〜5年という短期的な視点ではなく、常に10年〜20年のスパンで考えて事業展開する必要がある。特に為替という変数を考慮に入れながら、現地化をしながらもフレキシブルに輸出入を切り替えられる体制が組めれば強い。
今やブラジルはグローバルな展開に組み込んでその体制を組むだけの価値ある市場規模に育っている。なかなか本社の認識が追いついてこないのが課題だが…。
来年は、日本とブラジルがビジネスを初めて120年の記念すべき年となる。ブラジル市場の重要性がますます認識され、長期的な視野を持ち、為替、政治、インフレなどの様々な変数にフレキシブルに対応できるような体制づくりを始めるきっかけの年となればと思う。