建設中だった南北鉄道(ノルテ・スル鉄道)の一部、トカンチンス州パルマスとゴイアス州アナポリス(ゴイアニアから55キロ)を結ぶ885キロの工事が終了し、22日にイナウグラソンが行われた。22日付G1サイト、23日付エスタード紙等が報じた。
工事開始から実に25年後、建設のための最初の環境許可が出てからは既に27年経っている。ルーラ前大統領は2010年にアナポリスまでの開通は同年12月と発表したが、3年間遅れた落成式となった。
建設担当の公社VALECは、この遅れによる損害は年間120億レに上ると試算している。しかし、アナポリスの企業家らは今後、この鉄道の利用で輸送コストを30%削減できると見ている。鉄道車両で運搬される穀物等の量は、今後6年間で14%から32%に倍増する見込みだ。ある地元企業家は「この鉄道は地域だけでなくブラジルの経済を変える」と期待をかける。
ただし、当面は試験的な運転で、今回開通した路線では1カ月前から、トラックから貨物を移す作業場の建設のために使う砕石約1千トンが、1日3往復して運びこまれている。トラックだと65台が必要になる量だ。
アナポリス市内の鉄道は、ヴァレ・ド・リオ・ドーセ社が運営する中央大西洋鉄道(FCA)との間を繋ぐ800メートル分がまだ完成していない。線路伝いでは穀物や鉱石などが生産されているが、補足工事が終わっていないため、本格的な利用は来年になっても困難だと見られている。
また、今後の工事に向けては線路を建設する資材不足も問題だ。セーザル・ボルジェス運輸相と社会経済開発銀行(BNDES)のルシアーノ・コウチーニョ頭取は16日に中国に渡り、当地の鉄道に投資を求める交渉をする予定だ。同国の鉄鋼等のメーカー「攀鋼集団有限公司」からは、早ければ3カ月後に建築資材が届くという。
政府の計画ではゴイアス州オウロ・ヴェルデとサンパウロ州エストレラ・ドエステを結ぶ線が来年中に完成予定だという。
南北鉄道は、全て完成すれば全長4576キロで、マラニョン州からサンパウロ州まで9州を縦断する見込みだ。VALECによれば昨年12月の時点では全体の5%しか完成していなかったが、この時点で既に80億レの資金が投入されたという。
工事の遅れは、工事の違法性が告発されたことにも起因する。VALEC元総裁が昨年7月に資金の横流しで逮捕され、現総裁は就任時、政府に4億レの資金追加を要請していた。