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14年の貿易収支赤字に=工業界の競争力低下等響く=今年は黒字にと言うけれど

 商工開発省が5日、2014年の貿易収支は  2000年以来の赤字となり、1998年の66億ドルの赤字に次ぐ39億3千万ドルの赤字だったと発表したと6日付エスタード紙が報じた。
 貿易収支が赤字と終わる可能性は昨年中から指摘されていたが、政府関係者は12月には黒字に転ずると見ていた。しかし、12月の貿易収支は2億1100万ドルの赤字を記録した2000年に次ぐ2億9300万ドルの黒字に止まり、年間収支を黒字に書き換える事は叶わなかった。
 アルマンド・モンテイロ新商工開発相は、コモディティの価格低下などの国際的な要因が最大の原因とした上で、輸出振興のための策を講じる事を約束した。
 5日の時点で貿易収支悪化の最大原因とされたのは石油やその派生品の収支の赤字だったが、実際には同分野の14年の赤字は166億ドルで、203億ドルだった2013年より改善した。14年の石油生産と輸出は13年より増えたが、未だに輸入を上回れずにいるため、コモディティ価格の低下が収支の拡大を防ぐ役割を果たした。
 ただし、コモディティ価格の低下は鉄鉱石や砂糖などの輸出ではマイナスの方向で働き、中国への鉄鉱石輸出が振るわなかった事などとも重なって輸出の勢いをそいだ。
 一方、7日付エスタード紙によると、工業製品の輸出入のバランスは2007年から赤字が続いている。14年は1094億ドルの赤字で、過去最悪の状態となった。
 14年の工業製品の貿易赤字は、輸入減にも関わらず、13年比42億8千万ドル増えた。商工開発省では、これはアルゼンチンの経済危機や輸入障壁と、石油採掘用のプラットホームの輸出減少が主因だという。14年の工業製品の輸出は前年比13・7%減の802億1千万ドル。輸入は同4・3%減の1896億5千万ドルで、過去2番目の高額を記録した。
 亜国経済は、国が抱える負債の返済が滞った事などもあって冷え込んだ状態が続いている。同国が輸入許可の自動更新を停止した事などもあり、14年の同国への輸出は27・2%減の142億8400万ドルに激減。同国からの輸入も14・1%減の141億4300万ドルとなり、1億4100万ドルの黒字を計上したが、この額は13年の31億5200万ドルより95・53%も減っている。
 石油採掘用のプラットホームは13年、7基77億ドルを輸出したが、14年は2基20億ドルに止まった。
 市場関係者は、15年のブラジルの貿易収支は、ドル高と国内消費の冷え込みによって輸入が減り、赤字から脱却と見ているが、工業製品の国際競争力の低下に歯止めをかける事も不可欠だ。