日本に帰って、「あっそうだったか」といまさらながら気付くことがいくつかある。一つが、タバコとその匂いである。ブラジルではレストランや室内の施設で禁煙が法律で決まっているため、タバコの匂いに敏感になる。日本は今でも、喫茶店や居酒屋、飲み屋で禁煙というところは少ないし、分煙とはいえ匂いはする。全体的に非寛容な社会だが、税収の問題もありタバコには甘いといったところか▼1965年の調査以降初めて、喫煙率が20%を切った(JT調べ)という。男女別では、男が30%で女性が9%。66年には50%が吸っていたというから、すごい減少率だ。5人に1人しか吸わないのに、どこでもタバコが吸えるのが少々不思議だ。確かに喫煙者は減っているように思う。本紙に研修でやってくる大学生らで喫煙者は思い起こしてもいない。編集部でも10年ほど前は、仕上がった原稿片手に一服していたが、今では喫煙者はゼロである▼韓国では、今月1日からブラジル同様、完全禁煙となった。ちなみに韓国では成人男子の40%が吸うというから、なかなかに厳しい。昨年11月から値段も倍となり、買い占めする消費者の間でトラブルが続発したとか。血気盛んな国民性の上、ストレス過多な社会だけに各地で波紋を呼んでいそうだ▼ブラジルでは、そんなにトラブルはなかったような気がする。かつ現在まで徹底しているのがブラジルらしくない。日本から戻って、やはりいいなと思うのは店内の空気のキレイさだ。ただ、タバコのパッケージのグロテスクなデザインを朝のパダリアで見てしまうのが辛いところだが。(剛)