ブラジルの私立病院では帝王切開による出産が多い事を受け、保健省が6日、不必要な帝王切開を減らすための諸策を発表したと7日付伯字各紙が報じた。
「当国での帝王切開の流行は目に余り、公的な保健行政の重要課題として扱う以外に歯止めの方法はない」というのは、アルトゥール・シオロ保健相だ。
ブラジルは2012年、汎米保健機構(Opas)から「帝王切開の世界チャンピオン」と指摘された。同年は、290万例の内55・6%が帝王切開だった。この数字は統一医療保険システム(SUS)を利用した公立病院での出産(帝王切開は約40%)を含んでおり、保健プランを使える私立病院だけ見ると84・6%が帝王切開だったという。2004年の私立病院での帝王切開は74%だった。
緊急時や母子の生命を脅かす場合でもないのに帝王切開を行うと、医療経費の増大を招く上、医師や親の都合で出産日を決める事で子供の健康に悪影響が及ぶ危険性もある。
このため、保健省は180日間の適応期間を設けた上、保健プランの会社に、妊婦からの問い合わせを受けたら、15日以内に各病院の帝王切開の比率やどの医師が帝王切開を行ったかといった情報を提供する事を義務付けた。これに違反した場合は2万5千レアルの罰金を科す。
また、妊娠中の検診結果などを記入するための母子手帳の配布、帝王切開となった理由や分娩の経過を記した産科医からの報告書の提出も義務となった。
出産に立ち会う医師は母子手帳によって妊娠中の経過を知る事が出来、妊婦も担当医が変わっても不安を感じなくて済む。産科医の側も24時間体制で患者に立ち会わなくても済むという利点を生む。
一方、保健プランの会社は産科医からの報告書を吟味し、帝王切開は不要だったと判断した場合には医師への支払いを拒否する事が出来るようになる。
私立産院では分娩に立ち会う医師が個人的に金を請求する事も多く、自然分娩を望む患者や医師への支払いを嫌う患者がSUSでの出産に切り替える例もある。フォーリャ紙によると、医師が請求する金額は500~4千レアルと幅があるが、保健相は、産科医による個人的な支払いの請求は違法との判断も示した。
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