9日夕方、サンパウロ市中心部で、6日からのバス・地下鉄運賃の0・5レアル一斉値上げに反対する無賃乗車運動(MPL)主催のデモが行われ、5千人の市民が参加した。午後5時に市営劇場に集まって人々は平和裏にデモを行っていたが、午後7時20分頃、コンソラソン街で、デモの群衆に紛れていたマスクで顔を隠した暴徒が破壊行為を行い、軍警と衝突したと10、11日付の伯字各紙が報じている。
被害を受けたのは銀行支店3軒、自動車販売店2軒、軽食堂2軒で、地下鉄パウリスタ駅、コンソラソン駅、トリアノン・マスピ駅は一時的に出入り口が封鎖された
暴徒に対し警察は、催涙ガス弾やゴム弾を発砲した。53人が逮捕され、10日未明には52人が釈放された。23歳の青年だけが取調べを受け続け、破壊行為の疑いで起訴される。今回のデモでは少なくとも6人が負傷した。
今回のデモを2013年6月6日に起きた大規模デモと比較すると、参加人数、開始地点、平和的に始まり、暴徒が破壊行為を行った点など、多くの類似点がある。当時の値上げ幅は0・2レアルで、値上げから23日後、政府は値上げを断念した経緯がある。
ジェラルド・アルキミンサンパウロ州知事(民主社会党・PSDB)はデモの翌日、デモ隊への警察の対応を肯定する見解を表明。「デモの権利は常に保証されるべきもので、民主主義社会の一部を成している。ただし、公共施設や私営の施設を破壊すること、他の市民を危険に晒すことは許されない。催涙ガスやゴム弾使用に際して行き過ぎがあったのであれば正さなければならないが、警察の対応は適切だった」と述べた。