ペトロブラス(PB)がペルナンブッコ州に所有するアブレウ・エ・リマ(Rnest)製油所の建設に関し、ギド・マンテガ財務相(当時)を含む同公社の経営審議会が2012年、32億米ドル相当の損害が出る見込みだったにもかかわらず、工事継続の判断を出していたことが明らかとなった。18~19日付伯字紙が報じている。
今回明るみになった事実は、有価証券取引委員会(CVM)の調べによるものだ。それによると、2005年は24億米ドルとされていたRnest建設費は、今日では185億米ドル、レアルに換算すると485億レアルに膨れ上がった。この額は、リオ州石油化学コンビナート(Comperj)の356億レアル、ベロ・モンテ水力発電所の300億レアルといった、他の重要施設への投資額を大幅に上回っている。
CVMによると、05年9月の時点でのRnestへの投資額は24億米ドルで、収益は2億1千万米ドルの見込みだった。この収益見込みは06年12月の時点では11億米ドル(投資額は41億米ドル)に上がっていた。ところが09年11月には投資額が134億米ドルに跳ね上がったにもかかわらず、収益見込みはマイナス19億米ドルとなり、さらに12年6月の時点では171億米ドルの投資で、損害見込みは32億米ドルにまで広がった。
12年の経営審議会では投資額が急激に増えていることは問題視したものの、損害見積もりに関してはその額も明確にしないまま議論が進み、建設工事の続行を承認したという。審議会では収支バランスに記載する額を削減するべきではないかとの声も出たが、財務担当者らは減額の必要はないと判断したという。
当時の経営審議会は、ギド・マンテガ財務相やミリアム・ベルキオル企画相(いずれも当時)、ゲルダウ社会長のジョルジュ・ゲルダウ氏など8人で構成され、グラッサ・フォステル現総裁もメンバーの一人だった。
CVMによると、この承認に悪意のようなものが認められた場合は審議会のメンバーは処分の対象になりうるという。12年当時の経営審議会がRnestが工事続行を決めたのは、同製油所が既に57%完成しており、今さら中止する必要はないとの見解によるものだったが、損害額を減らす対策を講じることや責任者を追及することは可能だったという。
これに対し、PBは「Rnestに関する投資額の急騰や損害の責任は当時の供給部長だったパウロ・ロベルト・コスタ氏(現被告)にある」との声明を出した。同被告は闇ブローカーのアルベルト・ユセフ被告と共にペトロロンの仕掛け人とされており、同被告が在任中に提出した提案書「製油所期待プラン(PAR)」が、数多くの購入計画の前倒しや、様々なプロジェクトの変更につながった。PB側は、これがペトロロンにまつわる多くの不正契約につながったと見ている。