2003年にインドネシアでコカイン密輸の容疑で逮捕され、翌2004年に死刑判決を受けていたブラジル人のマルコ・アルシェル・カルドーゾ・モレイラ被告(53)が、ブラジリア時間の17日午後3時半にライフル銃による銃殺刑に処されたと、18、19日付伯字各紙が報じている。
モレイラ被告は史上初の国外で死刑を執行されたブラジル人となった。
同被告の遺体は火葬され、ブラジルに搬送される。
死刑執行後、ムハンマド・プラセチョ検事総長は「自国民が死刑に処された国の反発は理解できるが、我が国の法律もまた尊重されるべき」と語り、ウィドド大統領は「薬物は中毒者とその家族の人生を破壊するもので、薬物汚染根絶のための戦いに『中庸のやり方』は存在しない」との声明を発表した。
ジウマ大統領は今回の措置に反発し、今後の対応を協議すべく、同国駐在のパウロ・アウベルト・ダ・シウヴェイラ・ソアレスブラジル大使を召還。同大使は17日の夜、イ国を離れた。大使の召還は国際外交上、両国間の関係が深刻な状態まで悪化したことを示している。
前任のルーラ大統領時代からの再三の助命嘆願要請が拒絶された格好のブラジル政府は、もう1人のブラジル人死刑囚ロドリゴ・グラルテ被告の刑執行を食い止める働きかけを再開した。
ブラジル政府はグラルテ被告に心理的サポートを施し、被告の重い健康状態を検査するようにとの被告の家族からの要請をイ国政府に届けた事を確認した。
グラルテ被告の従姉妹は、被告が精神分裂症を患っているとの診断書をイ国政府に届けるために同国に旅立った。被告の家族はこれにより被告が精神病院に送られれば、刑の執行を少しでも遅らせられるのではと一縷の望みを抱いている。現地メディアは、同被告の処刑は1カ月以内に執行されるとの見通しを報じている。