フォルタレーザ市在住のゼウダ・レボウサスさんは、約2年前までは友人の子供への贈り物として幼児服を作っていたが、現在は、国内はおろか、スイス、米国、スペインなどからの注文も捌く子供服専門のアトリエ・デ・アルテスを経営している。
ゼウダさんが外注で幼児服を作り始めたのは、娘のサブリーナさん(24)が2年前、レース飾りがついた作品をフェイスブック(FB)に掲載したのがきっかけだ。サブリーナさんは起業の契機になるなどとは考えずに写真を掲載したが、以来、国内外からの注文は増える一方で、現在はインターネットで1日約50点を販売、従業員15人を抱える会社に成長。マーケティングなどはサブリーナさんが担当するなど、一家を挙げての事業となっている。
レボウサス一家はFBがきっかけで事業を起こしたほんの一例だ。コンサルタント会社のドレイッテ社によると、社会ネットワークサービスによって2014年に生じた商取引額は世界11カ国で2270億ドル、450万人の雇用確保にも繋がっているという。
同社が行った調査の結果はスイスのダヴォスで20日から開催される経済会議でも報告される事になっている。
ブラジルはFBを通じた商取引で100億ドルを売り上げ、23万1千人の雇用を生み出した。この取引額は11カ国中で3番目だ。トップの米国は1千億ドルを売り上げ、107万6千人の雇用を確保している。2位の英国の売り上げは110億ドル、雇用創出は15万4千人に及んだ。以下、取引額だけ見ると、ドイツとフランス70億ドル、イタリアとオーストラリア60億ドル、カナダ50億ドル、インドとスペイン40億ドルとなっている。
リオ市ロッシーニャのランショネッテ、メガ・ランシスはインターネットやサイトよりFBの方が実情にあっていると判断し、3年前、宅配の注文受付用にFBのアカウントを立ち上げた。立ち上げから1週間で受けた宅配注文は100件だったが、3カ月後の売り上げは70%向上。電話注文もあるが、大半の客はFBを通して注文してくる。現在のメガ・ランシスは配達要員6人を含む18人の会社に成長し、店主のアンドレ・マルチンスさんは「個人経営の零細企業が、簡易版の所得税申告を利用できる規模になった」と笑みをこぼす。
現在のブラジルのFB利用者は9100万人で、少なくとも80%がFBにアカウントがある約200万の小企業とつながりを持っている。Insperコーディネーターのルイス・トゥラッチさんは、「FBは経費をかけずに自社をアピール出来るし、販売面だけではなく、自社のイメージや経営理念を知ってもらうためのツールにもなる」とその価値を強調している。(20日付エスタード紙より)