多くの移住者を送り出し、昨年90周年を迎えたアリアンサ移住地建設の立役者となった公益法人・日本力行会(村上悦栄理事長)。その長年の懸案だった学校法人化の認可を、昨年12月1日にようやく東京都知事から得ることが出来た。村上理事長(73、東京)は「新しい園舎の完成と、幼児教育、少子化化対策に向けた新たな取り組みに邁進していきたい」はそう意気込んだ。
JICAシニアボランティアとしてブラジルで2年間の滞在経験を持つ事務局長の幸脇(さいのわき)一英さん(70、東京)は、「地域と一体になって国境や文化を越える。これが力行会の昔からのモットーです。ブラジルの皆さんからの寄付もあって、この場所は設立されたと聞いている。組織の永続化への大きな一歩です」と何度もうなずいた。
日本力行会の創立は1897(明治30)年、117年の伝統を誇る。永田稠第2代会長は1920(大正9)年に初の南米一巡をし、その後に同会からの送り出しが開始され、1924年10月にアリアンサ移住地建設が開始された。その間、1933(昭和8)年に文部省から財団法人に認められた。
終戦直後、ブラジル力行会が総会で学生寮建設を決めた1946年に、東京では力行幼稚園が創設された。「カフェよりも人をつくれ」との永田会長の言葉が両側で実行された。
1961(昭和36)年に東京都から財団に、2014(平成26)年4月に一般財団、そして今回12月に学校法人として認可を得た。幼稚園運営と同時に、国際事業部として海外留学生を常時100人程度も受け入れており、当地からも30人以上が現在宿泊している。
幸脇さんは「ここは、幼稚園児が外国人と日常的に触れ合える環境がある日本で唯一の教育機関。今回の認可も、国際人養成が必要という時流からその点が高く評価されたのでは」と見ている。
この12月に就任した村上理事長は「このような歴史的な背景を持つ幼稚園は日本広しといえど、ここだけ。今までの積み重ねのおかげ」と感謝の言葉を述べた。