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亜国より電力を緊急輸入=隣合わせの大停電の危機=電力配給制の可能性も

 19日に10州と連邦直轄区で起きた大停電の後、ブラジルは、再び大停電が起きないよう、隣国アルゼンチンに助けを求めた。20~21日にピーク時の電力需要を満たすために輸入された電力は約2千メガワット(MW)に及んだと、22日付伯字各紙、サイトが報じている。
 20日の全国電力システム運営機構(ONS)の報告書によると、20日に輸入された電力は165MWで、同日の全伯での総消費電力の0・22%だった。同報告書は続けて、酷暑続きで電力の需要が増えており、停電の危機を心配することなく電力供給を行うために必要があると判断される間は電力輸入を続けるとした。
 エドゥアルド・ブラガ鉱山動力相は20日の記者会見で、19日の停電の原因はピーク時の電力需要増大ではないとしたが、各地の電力供給会社は20日朝、前日同様の停電が起きないように警戒するようにとの指示を受けたという。
 政府はエネルギーをアルゼンチンから買う選択肢は間違いではないとしているが、アルゼンチンもいつエネルギー危機になるかは不透明で、電力を買う戦略には危険が伴う。
 ブラジルの電力危機は深刻だ。ブラジルは19日に起きたような大停電や電力不足の危機と常に隣りあわせで、この問題に直面するためには、政府が電力消費を抑えるための政策をとるか、電力の配給制(電力カット)を視野に入れる必要がある。
 しかし、連邦政府は電力配給制も電力不足の可能性も認めていない。ブラガ鉱動相は20日も、「需要に対応できるだけの電力がある事を国民、労働者のみなさんに確約できる」と述べた。
 ブラジル石油公社(Petrobras)の持つ22の火力発電所では、16カ所が操業規制下または点検が必要な段階にあり、本来可能な供給電力の66%の電力しか供給できていない。
 ブラジル南東部、中西部、北東部を襲っている干ばつで水力発電所のダムの水位は大幅に下がっており、今後も雨が降らなければ、水力発電所で供給できる電力は1カ月分の消費量に過ぎない。
 ブラジル電力業界主要コンサルタント会社、PSRは「12月の段階では電力配給制が行われる可能性は20%ほどと見ていたが、今月16日現在のダムの貯水率は更に悪化しており、今年のうちに南東部、中西部、南部で電力配給制がとられる可能性は50%を超えた」との見解を示した。