「日伯外交樹立120周年」をテーマに、サンバカーニバルに出場する有力チーム「アギア・デ・オウロ」(以下アギアと略)。同チームの顔ともいえるマドリンニャ・ダ・バテリア役を務めるために、小口未来さん(おぐち・みく、33、神奈川)が来伯した。身長155センチと小柄ながら「大事なのは存在感ですから」と胸を張る彼女に、参加の経緯とカーニバルへかける思いを聞いた。
アギアは最近2年連続でスペシャル部門総合3位に入った有力チームだ。シジネイ・カリウオウロ会長は過去何度も日本を訪れて、浅草サンバカーニバルにも4回連続で視察に行くほどの親日家として有名。
2014年に浅草カーニバルを訪れたアギアのメストレ・サーラ(チーム旗を持って踊るダンサーの相方)がレッスン会を開いた折、小口さんは迷わず参加した。08年からサンバを始め、平日は会社勤めをしながらも、週末はサンバ漬けの日々を送っていた。
10、12年に浅草サンバカーニバルで優勝経験を持つサンバチーム「サウーヂ」(神奈川)で、小口さんはハイーニャ・ダ・バテリア役(13年)を務めるほどの実力があった。同レッスン会でメストレ・サーラは「美しい容姿と親しみ易さ、人前に立つのに必要な素養が揃っている」とほれ込み、パレード参加を要請した。
小口さんは承諾した理由を「ブラジル人に日本のサンバのレベルが高いことをもっと知ってほしかったから。アーラ(隊)も組織され、練習もしっかりやっている。羽を背負ってただ歩いている様なレベルじゃないんです」と熱く語る。
「日本の人にも、私がブラジル人に負けずにサンバをしている所を見て欲しい。勇気を持って欲しいんです」と言う。「日本人は体型や顔立ちを挙げて『日本人は世界では通用しない』とすぐに諦めてしまう。身長に関してはハンデに感じる事もあるけど、大切なのは存在感。顔立ちもメイクをすれば問題になりません」ときっぱり。
アギアを支援するインスチトゥト・パウロ・コバヤシ(IPK)の小林ビットル代表も「浅草カーニバルのレベルの高さを表現することを、彼女に期待している。〃ジャポネースもサンバが踊れる〃ことを見せてほしい」と笑った。
サンパウロ市カーニバルでマドリーニャ・ダ・バテリアの大任をこなす日本人女性は2人目。1人目は移民百周年の08年にヴィラ・マリアにでた杉浦友香さん(06年にバイーア州カーニバルのシンボル就任)。
12月30日に来伯し、練習三昧の充実した毎日を送る小口さん。直前に建築関係の会社も辞め、今回は衣装作りも研究し、帰国後はサンバ衣装の輸入と製造のビジネスを始めるという。サンバとの出会いで新しい人生が拓けたようだ。
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