1月31日、連邦直轄区で23歳の若者が運転するポルシェが立ち木に激突し、大破する事故が起きた。車は3日前に父親が買った物で、事故の前日に保険契約を終えたばかりだった▼これを聞き、12年3月17日、当時、ブラジル一の資産家だったエイケ・バチスタ氏の長男トール氏が、リオ州の高速道で起こした死亡事故を思い出した。この息子は交通違反の常習者で、この時も父親のベンツを制限時速を相当上回るスピードで走らせていた。やはり政治家の息子が飲酒運転でスピードを出し過ぎ、乗っていた車がバウンドして空を飛んだため、前を走っていた車の上半分を削り取り、乗っていた青年2人の首が飛ぶというむごい事故もあった▼31日の事故では運転手が事故の後にとった態度やケガの有無などは不明だが、金持ちのボンボンが起こした常識はずれの事故の話に、苦労知らず、思慮不足、無責任といった言葉を思い浮かべるといったら言い過ぎか。親が汗水流して稼いだ金を息子が湯水のように使う事は貧しくてもありうるが、金ですべて解決できる訳ではない事などは、どこかで学ばなければならないだろう▼親の思いに反した行動で周囲を泣かせたり、親にたてつく子供は多く、何もかもを他人のせいにする人もいる。一度出来上がった考え方や性格を改めさせるのは容易ではないし、社会奉仕や刑務所暮らしを経ても何も変わらぬ輩もいる▼だが、周りの人が投げ出してしまうようなケースでも、我が子と思えばかばいたくなるのも親の常だ。こういった世間知らずがこれらの経験を経て、親がいなくても尋常な判断が出来、責任感のある人物に生まれ変わる事に期待したい。(み)