空軍の広報によれば、ブラジリア空軍基地で1月30日、ジャッキス・ワギネル国防大臣が臨席して、斉藤準一空軍総司令官(72、二世)の退任、およびニヴァル・ルイス・ロサット大将の総司令官就任の記念式典が行われた。斉藤大将はルーラ前大統領に任命され、PT政権中、日系として最高位に居続けた。サンパウロ州パウリスタ線ポンペイアの日系集団地で生まれ育ち、7歳まで日本語だけで育った後、空軍学校を経て入隊し、55年間の軍歴を誇る。
07年7月17日にコンゴーニャス空港でTAM機が墜落し、187人が死亡する悲劇が起きた後、空港管制官によるストが頻発する「空港危機」となった。いわば、火中の栗を拾うようなタイミングで斉藤大将は空軍総司令官に就任した。以来、歴代の空軍総司令官で最も長い8年間の任期を務めた。在任中には空軍近代化に関わる数々のプロジェクトに貢献し、式典ではその功績が称えられた。
斉藤大将は式典で挨拶に立ち、家族や軍の同僚への感謝を述べ、「心安らかに職位を退くことができる。任せてくれた空軍に感謝したい」と胸のうちを語った。
スウェーデン製グリペンNG36機購入を決めるなど重要決定事項にも携わり、無人偵察機の購入を初めとする空軍の近代化に力を注いだ。
斉藤大将は「最も印象深い任期中の仕事」を尋ねられ、「戦闘機選択だ。95年からの懸案事項だったが、大統領は勇敢な決断をした。我々は常に防衛産業を刺激することを意識している。どんな国であれ、強い防衛能力を持つためには産業基盤が独立していないといけない」と先進国から兵器を購入する際の、軍需技術国産化の重要性を強調した。
総司令官の役割を遂行する上でこだわった点について、「みんなの意見を聞きながら、チームで働くことを心に留めていた。たとえ自分とは反対の意見であっても、そこには何か学ぶことがあるはず」と組織をまとめる考え方をのべた。
新任のロサット大将は46年間の軍人経歴を持ち、1月7日、ジウマ大統領から役職についての打診を受け、内諾していた。斉藤大将はロサット大将が1972年に空軍学校の1年生だった時から、指導官として接しており「彼の才能には常に感心し、昇進に相応しい人間だと薦めてきた」と高く評価した。
その上で、斉藤大将は「退任後はサンパウロに戻り、家族とともに定年後の生活を過したい」と話した。