サンパウロ市市営の医療機関では、今年に入って既に断水が起きたところが113カ所あり、そのうちの76カ所はサンパウロ州水道公社(Sabesp)の給水車の緊急出動を必要とした。渇水危機が医療機関に及ぶ様子を9日付の伯字各紙が報じている。
この数値はサンパウロ市内780カ所の市営医療機関に限ったもので、113の医療機関では計633回の断水が発生。内51件はSabespの給水車の派遣さえなかった。
断水が起きた医療機関の多くはサンパウロ市北部に集中(50カ所)している。これは北部が唯一、一番渇水状況の酷いカンタレイラ水系からのみ給水を受けている地域であることに起因する。
サンパウロ市北部ヴィラ・レオノールの保健所は、1月だけで8回診療を中止した。「医療、歯科医療用に水を確保しておかなくてはいけない。足りなくなったら給水車を呼ぶが2千レアルもするし、到着に時間もかかる」と同保健所職員は語る。
「病院の水を止めるなんて間違っている。病院は給水が保証されていなくてはならない場所の一つだ。医療の改善に使われるべき救急外来の金が給水車への支払いに使われているなんて」との苦言は、北部サンターナの救急外来で1時間待った挙句、診察予約さえ入れられなかった検査助手のチアゴ・ゴメスさん(28)の言葉だ。
一方、ベネディト・ブラガサンパウロ州水資源局長はフェルナンド・ハダジサンパウロ市長(労働者党・PT)に対し、計画断水は病院や刑務所への給水を保証する工事が終了してからになると通達した。同局長は工事期間を40日と見積もっている。
同局長によると、州政府は既に水の配給制(計画断水)の準備を進めている。病院、刑務所へポンプで給水する設備の設置は準備の一つだ。
伯字紙がサンパウロ市保健局やサンパウロ州保健局の技術者から得た情報によると、ジェラルド・アルキミンサンパウロ州知事(社会民主党・PSDB)は、断水地区であっても病院などには給水できるようにするための地下配管工事をSabespが進めていることを明らかにしたという。