サンパウロ総合大学(USP)で11日、入学手続きのために来校した新入生を対象とした、トロッチと呼ばれる歓迎行事が行われた。
泥の海の中を這い回らせるのが恒例の政経学部では、水不足に考慮して給水車を呼ぶのを中止。10日に降った雨の残りを利用して、芝生に出来た泥水の中に寝転がったり、濡れ鼠になった仲間が列を成して脚を広げたトンネルの中を這い抜けるといった遊びに興じた新入生もいたが、それ以上に目をひいたのは、癌病院に寄付するための髪の毛や本の寄付だった。
新入生の中には40センチもある長髪をばっさり切った男性もおり、束になった髪を差し出す姿は伯字紙サイトにも掲載された。
トロッチの様子は学部毎に違い、サンパウロ市中央部の法学部前では、同学部がある地区の名前でもある〃サンフランシスコ〃という銘柄のピンガで〃11秒間の洗礼〃を受ける新入生の姿も見られた。トロッチへの参加は強制ではなく、構内には、「強制されていると感じたら助けを求めるように」と書かれたポスターも貼られていた。
昨年は医学部の新入生歓迎行事での強姦事件などが明るみに出、内外で捜査が行われたりといった報道が続いたUSPだが、今年は上級生の中からも「新入生歓迎の際には暴力や性差別、人種差別といった事はあってはならない」といった言葉が聞かれるなど、例年以上に自制心が働いているようだ。
入学手続き初日のトロッチでは例年通り、顔やそり上げられた頭、きていたシャツなどに絵の具を塗りたくられた新入生も大勢いた。
USPでは2月23~27日に新入生歓迎週間を計画しており、講演会やワークショップ、討論会の他、教育目的のキャンペーンや社会活動などを行う事になっている。(10日付G1サイトなどより)