ライターの西牟田靖さん(44、大阪)=東京在住=が放射能汚染の危険な事例や、ハイパーインフレ時代の生活観などを取材するため8日に来伯した。北方領土、竹島、尖閣諸島などに潜入取材した報告をまとめた『誰も国境を知らない 揺れ動いた「日本のかたち」をたどる旅』(08年、朝日文庫)をはじめ数々のノンフィクション話題作を発表している。
福島原発事故をきっかけに放射能問題は世界中からの高い関心が集まっていることから、今回は中西伯ゴイアス州の州都ゴイアニアで87年に起きたセシウム137放射能事故を取材するという。放射線治療用のセシウムが一般ゴミとして捨てられたことから1600人が放射能を浴び、100人ともいわれる死者が出たブラジル最悪の被爆事故が起きた場所だ。
すでに60カ国以上を渡り歩いた西牟田さんだが、南米は初。「アベノミクスを続けると経済悪化が進むのでは」と危惧し、「デノミ政策や通貨変動を経験した国がどんな軌跡を辿ったか」という観点から「ハイパーインフレを経験した国」に興味があるという。
「地球の反対側にどんな日系コミュニティーが存在するのか。移住者の話を聞きたい」と関心を寄せ、サントス厚生ホームも訪れた。16日に帰国する。近況などは西牟田さんのサイト(http://nishimuta62.web.fc2.com/)まで。