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鉱山動力相のエドゥアルド・ブラガ氏(Wilson Dias/Agência Brasil)
鉱山動力相のエドゥアルド・ブラガ氏(Wilson Dias/Agência Brasil)

ブラジル産業界=3月から電気代53%増=国際的な競争力更に低下か=中小企業に一層の負担増=基準見直しを求める企業

 【既報関連】2012年の大統領令による電気代引下げ後の経費増大や国庫からの支出カット、水力発電量減少で火力発電所を止めることなく作動させていることによるコスト高などが3月より電気代に上乗せされるため、南東伯の企業は1メガワットの電力を1時間使った場合のコスト(MWh)が79レアル(53%)増えると18日付エスタード紙が報じた。これを受け、産業界は法的手段に訴える構えだ。

 産業界の代表達は国家電力庁(Aneel)に対し、電気代据え置きを求める提案書を提出する予定だが、現況では3月からの負担増は避けられない模様だ。
 電力供給会社Compassの試算によると、毎時30メガワット(MW)を消費する企業がMWh150レアルを払っていた場合、この単価が229レアルに増大(52・6%アップ)し、年間2080万レアルの支出増になる可能性がある。「利益率の低い企業にとってはこの突然の経費高騰はダメージが大きい」とCompassの共同経営者、マルセロ・パロディ氏は語った。
 産業開発研究院(Iedi)によると、2014年の工業生産は、史上最悪ともいえる前年比3・2%減で終わった。今年に入り、ドル高レアル安が輸出業には多少の追い風となっているが、外国市場での競争力の弱さと内需縮小に電気代高騰となれば、先行き見通しは決して良くない。
 「この分では国内産業はことごとくつぶれ、消費電力も余るだろう」と全国電力エネルギー消費者協会(Anace)会長のカルロス・ファリア氏は不満を述べた。
 同会長は、自由市場で購入する電力と発電会社から直接購入する電力との金額の差も産業界を圧迫するという。最も影響が大きいのは、国全体に電力を行き渡らせる計画や低所得者層への電気代補助、北伯での火力発電への融資などの動力開発勘定(CDE)だ。昨年までは電気代上昇を避けるため、CDEの経費の一部を国庫から払っていたが、今年はジョアキン・レヴィ財務相の提唱で国庫支出が削減され、CDEの経費は基本的に消費者負担となった。
 今日、企業が使う電気代は一般家庭より20%低いだけだ。この値はデンマークの70%、米国の44%、英国の39%より低く、「産業界が一般消費者の電気代を支援しているようでは、国外競争力の障害になる」とした。リオ州工業連盟(Firjan)が27カ国で行った調査によると、ブラジルは中国、米国、ドイツ、メキシコ、チリ、ウルグアイ、パラグアイとならんで電気代の高い国となっている。