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差別の歴史、繰り返さない=「日系米国人物語」出版

 【ワシントン共同】第2次大戦の際に米国で強制収容された日系人の歴史を平易な言葉で記した本が米国で出版された。米中枢同時テロ後、イスラム教徒への偏見が強まる中、「同じ過ちを繰り返してはならない」と訴えている。
 アジア太平洋圏議会研究所代表を務める日系人フロイド・モリ氏(75)による「日系米国人物語」(430ページ)。強制収容という差別の歴史を学ぶ機会は少なく、戦後70年を経て、負の歴史が忘れ去られることへの危機感も出版の背景にある。
 自らの講演録や寄稿文を収録。日系人の権利擁護団体、全米日系市民協会(JACL)幹部の立場で2011年に米紙に寄稿した文章などで、真珠湾攻撃後、日系人が自由を奪われた「恥ずべき出来事」を米政府が謝罪した経緯を振り返った。
 モリ氏は米国内の現状を「戦争ヒステリー」と表現。イスラムというだけで潜在的テロリストと見なすべきではないと訴えている。
 強制収容所では、米国への愛国心を示すべきだと主張したJACLと、米国の不当な扱いに抵抗した日系人が対立した歴史もある。モリ氏は02年に「抵抗者」に対する屈辱的な扱いをJACL会長として謝罪。その「最も思い出深い」という講演録も本に収めた。