サンパウロ州一の〃水瓶〃カンタレイラ水系の貯水率が10・6%に回復した23日、朝のテレビで、ある公立校が雨水を溜めるための貯水槽を大小三つ設置し、掃除には水道の水を使う必要がなくなったと報じていた▼逆を言えば、これまでは浄化された水が〃湯水のように〃使われていたという事だ。空気や水はあるのが当たり前で、自分達が使いたいように使うという考えが行き渡っていた中で起きた水騒動▼実は、地球温暖化が言われ始めた頃、識者達は既に「水戦争が起きるのは必至」とも言っていたのだが、ブラジルはそんな事には頓着しなかった。2000年や01年の水不足を記憶している人々も、大半は「喉元過ぎれば」で、水道を捻れば水が出るのが当たり前の生活に安住していた事だろう▼だが、断水や水道減圧後、「5日断水、2日給水」説も飛び出してからは貯水槽が品不足となり、日本で昔、「オイルショック」でトイレットペーパーの買いあさりが起きたのを思い出した。また、サンパウロ州では、少しでも強い雨が降れば洪水が起きるという体質の改善が遅れたまま、雨水の有効利用も上手く進んでいない事が改めて明確になった▼「汚職以外では計画性という言葉を言っても無駄」といわれては身も蓋もないが、人口が増える中、給水源や貯水場の確保が疎かになれば、降水量には関わらず、いずれ水不足が起きる可能性は高い。そういう意味で、遅ればせながらサンパウロ州政府が計画している大型の貯水槽建設や水の再利用計画が上手くいくよう見守っている人は多いだろう▼水や石油などは限りある資源である事を再認識した為政や生活習慣の見直しこそ、持続可能な発展に他ならない。(み)