15日夜の強い雨でチエテ川が氾濫し、冠水したサンパウロ市東部のヴィラ・イタイン地区は、23日もまだ水が引いていない。苦しむ住人の様子を24日付けフォーリャ紙が伝えている。
「気をつけろ! 水に触って〃ネズミスピラ病〃をもらわないように」と水道技師のマルコス・バルボーザさん(46)は冗談を言う。1週間以上も水に浸かっている同地区の住人だ。ネズミの尿を介して伝染する〃レプトスピラ症〃を地域住民は大いに恐れている。
外では濁った水が脛の高さまできている。感染症を気にする人は長靴を使うが、気にせず水に脚を突っ込む人もいる。
マリア・ダス・ドーレス・アウヴェスさん(64)の家はまだ水が引かず、22日(日)は1日中、台所やトイレ、庭に残った水をかきだして過ごした。長靴にモップ姿の彼女は「人を迎えるのは好きだけどこの水には我慢ならない」という。
サンパウロ市役所とサンパウロ州政府は同地区の洪水を解決すると約束した。川に近い360世帯は転居先が与えられる。
エドゥアルド・スプリシイサンパウロ市人権局長は先週、ゴムボートで被災家族を見舞い、「一刻も早く水を出してくれ」と頼まれた。解決策の堤防工事は今年下半期にやっと終了する予定で、それまでは、同地区住民の悩みは尽きない。同地区では家具や電気製品が全部だめになった人が多く、22日の昼食を食べそこなったマリア・ダス・ドレス・アルベスさんも、「自然に水が引くのを待つしかない」と嘆いた。