下院が25日、議員手当の調整案を承認し、4月から実施する。それにより、国庫負担は今年だけで1億1280万レアル増えることになる。連邦政府が経済立て直しのために財政支出を切り詰めようとしていることに逆行する形だ。26日付伯字紙が報じている。
この調整は下院議長団(メーザ・ジレトリア)の話し合いで決められ、投票にはかけられていない。提案を行ったのはエドゥアルド・クーニャ下院議長(民主運動党・PMDB)だ。
調整の対象となるのは3項目で、「秘書室費」は、議員ひとりにつき7万8千レアルの現行経費(12年制定)が9万2千レアルに18%あがる。これで今年は9730万レアル、来年は1億2900万レアルの支出増となる。
議員会館で生活しない議員への住宅手当ては、ひとり3800レアルから4300レアルとなり、今年は80万5500レアル、来年は107万レアル支出が増す。
さらに電話や飛行機代などの経費への割当額も拡大する。この額はどの州選出の議員かによって変わるが、今年1460万レアル、来年1950万レアルの負担が増す。 選出州からブラジリアへの旅費は、議員の配偶者の分も経費として認めるられることになった。これは2009年に、上下両院の議員が議会の金を使って友人や家族を国内外に旅行させていたことが発覚したことで禁止になっていた恩典だ。
これらの調整は4月から実施されるが、それでも今年は1億1280万レアル、来年は1億5030万レアルの支出増となる。
これは連邦政府がジョアキン・レヴィ財務相のもと、財政支出の切り詰めを行いたいのに逆行しているが、クーニャ議長は「インフレのため、必要な調整だ」とし、時間外手当の削減などで支出減につとめ、2017年までは次の調整は行わないとしている。
今回の件は、かねてから議会で政府の意向を否決され続けているジウマ大統領の根回しの悪さを露呈するもので、ルーラ前大統領は25日、「ジウマ政権の政局運営のあり方には荒療治が必要」と発言した。25日付フォーリャ紙によると、クーニャ議長と同じPMDBのテメル副大統領は24日、ジウマ大統領への電話で、大統領がPMDBの意向を無視して諸政策を決定し続ければ、連邦政府は議会を制御できなくなる、と警告したという。