オランダの非営利団体「マーズ・ワン」は現在、火星への永住地構築を目指し、2024年か2027年に地球を出発する火星への片道旅行への参加者とそのプロジェクト実現のための募金を募っている。その貴重な体験を手に出来るのは全世界でわずか24人だが、現在100人ほどになったその候補にブラジル人女性が1人混じっている。
その女性はサンドラ・マリア・フェリシアーノ・ダ・シウヴァさん。ロライマ州在住の51歳で、火星旅行が実現する時には還暦を越える。
サンドラさんは普段は学校の教員の仕事をしているが、作家としての顔を持ち、「オス・アンチーゴス」という計5巻の本を発行している。それは、地球上の生活から異星人の源が生まれるという、かなりSF的なものだ。サンドラさんは、「地球上の資源は底を突きはじめており、人間は資源の供給源を探さなければならない。火星移住は現実的な問題よ」と言ってはばからない。
そのことからも宇宙への関心の強さが窺い知れるサンドラさんだけに、「マーズ・ワン」への参加は当然の成り行きで、2012年には20万2千人の応募者の中から1000人ほどしか残らなかった第1次選考に合格した。
未婚で子供もいないサンドラさんだったが、この一次審査合格では実母から猛烈な反対にあい、13年の正月の朝は大喧嘩になったという。
だが、そんな母親の心配をよそに、サンドラさんは今月、第2次選考にも見事合格した。この合格に関し、サンドラさんは「母はまだ受け入れられないようだけど、だいぶ落ち着いたと思うわ」と語っている。
実際に火星に行くメンバーになるにはもう一段階の選考が必要だが、「私には勇気、人を思いやる気持ち、協調性、冷静さといった、選ばれるための全ての条件が兼ね備えられていると思うの」と自信のほどを語っている。