リベルダーデ歩こう友の会(小笠原勉コーディネーター)の一行約30人余りは2月22日、サンパウロ州ヴィニェード市(人口6万3千人)の第54回ブドウ祭りに行き、一日楽しんだ。
この地方はバンデイランテスが稀少植物や鉱物を探して分け入って道が開かれ、19世紀にコーヒー農場が作られ、イタリア移民などが欧州から導入された。
最初に一行が訪れたピンガ工房の代表レナト・アンドレッタさん(40)はイタリア系四世。「この町はイタリア系ばっかりさ。曽祖父が1890年頃にやってきてコロノとして働き、祖父が土地を買い、父がピンガ製造を始めた。僕はしゃべれないが、祖父はイタリア語がペラペラだった」と笑った。
次に訪れたフェラグチ家ワイン工房で製造工程を丁寧に説明したリカルドさん(40、三世)は、「祖父はスペイン系でコロノとして1903年にこの地にブドウの苗を持ってきた。ここでイタリア移民だった祖母と結婚し、最初は裏庭にブドウを植えて自家用にしていたが、今83歳の父がワインを作り始め、商品化するようになった」と語り、一行にブドウジュースの作り方まで教えた。
(1)500ミリリットルのジュースには1キロのブドウが必要。ジュースにはイザベル種が一番向いているが、甘ければニアグラ種も美味しい。
(2)ブドウを洗って粒だけを鍋に入れ、水を沸騰させた大鍋に浮かべる(=バーニョ・マリア)と自然に粒が熱で潰れはじめる。全部の粒が潰れて液体化したら止める。
(2)ザルに開けて濃縮した水分だけを分け、ジュースにする。ビンにつめて、冷やしてから冷蔵庫に。一週間はもつ。
(3)熱いうちに果実部分だけをスプーンですくって、タネや皮と分け、砂糖を加えて煮てジャムにする。ミキサーで崩してはいけない。タネがつぶれると渋くなる。
リカルドさんは同家のブドウ園の畝の端にバラを植えていること関し、「敏感な植物だから、この地域に病害虫が入ると、まずバラに異変が起きる。それを見逃さない様にして早め早めに対処するんだ」との知恵を披露した。
参加者の岡田愛子さん(78、二世)は「あちこちのブドウ工房を見学したが、普通はブドウジュースの作り方を教えない。ここは初めて。今度ぜひ家でも作ってみる」と喜んだ。
三角圭子さん(71、静岡)は「こんなに盛大なお祭りとは思わなかった。あちこちの町から来ていてすごい」とびっくりした様子。外山保さん(71、二世)も「体育館では家ごとにワインを作って、競う様に販売していた。家族の繋がりの強さ、イタリア移民の伝統を感じた」としみじみ語った。
祭り終日だったこともあり、バイク乗りの集いも同時開催され、大変な賑わいだった。