全国で反ジウマ、反PT(労働者党)、反汚職などを叫ぶデモが起きた15日、ベネズエラでは大統領の権限強化のための法案が承認された▼ベ国議会が認めたのは、反体制派の政治家逮捕後に米国が制裁などと言い始めた事を契機に出された法案で、国の安全を脅かす行為に対しては大統領令のみで9カ月間物事を動かす事が出来るというものだ。14日には市民も含んだ軍事訓練も開始されたという。これらの報道と共に、昨年の反政府デモ参加者が今も獄につながれ、その中の1人が13日に遺体で発見されたという報道に触れると、ブラジルのデモがいかに平和的かと思わされる▼ベ国では昨年、反政府デモが約100日間続き、反体制派を中心に43人が亡くなった。一方、15日のサンパウロ市でのデモは子供連れも目立ち、機動隊員と写真に納まる子供達さえいた▼大統領の直接選挙を求めた1984年のデモ以来の歴史的なデモには当時のデモ参加者らも加わり、直接選挙で選んだ大統領退陣も含む要求を突きつけたのはある意味で皮肉かも知れない。だが、ジウマ大統領自身がデモの前、抗議の声を上げる事は民主主義で保証されている権利だと認め、暴力行為に走らぬよういさめていた事を思えば、ブラジルの民主主義はベ国のそれよりはるかに成熟していると言える▼84年のデモ参加者やコーロル氏弾劾に動いた人達は13、14年のデモにも加わった。政府が国民の声を聞く事を忘れれば、ここ数年のデモ参加者やその子供達は再び大きなデモを起こすだろう。二つの国のデモを見て、為政者が民主主義の意義や尊さを忘れる事なく、謙虚さと国民の声を聞く姿勢を保てるようにと願わされる。(み)