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日本でも課題、文化の継承

 心や体が弱ると、緑茶を飲みたくなる。ほんのり青臭い熱々の液体を喉に流し込むと、なぜかほっとする。殺菌効果のせいか、腹痛も緑茶を飲むと治ることがたびたび。やっぱり日本人には緑茶がいい▼茶道裏千家助教授で、日本で日系人の茶業の取り組みを広めている上原美奈子さんによれば、「お茶を淹れた後の茶葉(茶殻)にはたくさんの栄養が残っているので、それを食べると体にとってもよい」。抹茶がことに良いのは、茶葉を丸ごと食べるからだとか▼いつも捨てていた茶葉だが、それを聞いて食べ方を調べてみたら、電子レンジで温めて乾燥させれば料理の香草として使えるし、切り刻んでだし汁と一緒に炊けば炊き込みご飯になるし、かきあげや佃煮にして丸ごと食べたりしても美味しいという▼乾燥させてお茶パックやストッキングに入れれば、靴箱やトイレ、押入れの消臭剤としても役に立つ。掃除の際に、埃や砂の上に撒いてほうきで掃き出せば、茶殻にゴミが付くので掃除がしやすくなるそうだ。飲んでよし、食べてよし、家のマヌテンソンにもよし。中々に用途が広く、今まで捨てていたことを反省した▼上原さんは当地の三世らとの交流で、日本文化が家庭で継げなくなっている日系社会の現状を知り、「何かしなくては」との想いに駆られたと話す。しかし日本でも、昔は家庭で受け継がれていたはずの茶殻の再利用という知恵すら、ネットや雑誌で得る時代になっている▼日本文化をどう継承するかという日系社会の課題は、実は日本から来て5年目の自分の課題でもあったと気付いた。日本の高齢者にも、やきもきしている人がたくさんいるに違いない。(阿)