過激派組織「イスラム国」(以下IS)がリオ五輪でテロを計画―との報道に接して、「外国人観光客であふれるコルコバードの丘のキリスト像を爆破」「マラカナン蹴球場入り口で銃乱射」「アングラ原発の爆破テロ」などの恐ろしい想像がわいた▼14年9月6日付フォーリャ紙もIS戦士になったブラジル人青年の話を報じていた。リオ出身でベルギーに移住したブラジル人母を持つ21歳青年だ。1万2千人のIS外国籍戦士のうち3千人が欧州出身で、ベルギー出身者が特に多いという。その青年もカトリックとして育てられ、モロッコ人の友人に連れられて最近改宗した。《ISで最も注目されるテロリストの一人》とベルギーメディアは伝えている▼14年12月19日付グローボニュースは、スペイン警察はISに入ろうとしていた18歳ブラジル人とモロッコ人2人を拘束したと発表。その他スペイン育ちの27歳ブラジル人青年がすでにIS戦士になっているとスペイン警察が確認したとも▼移民子孫が受入国からの差別に不満を募らせ、改宗を機にテロで復習する構図のようだ。欧州社会が内包する差別構造にISが寄生しているのか。欧州には91万人のブラジル人が住んでおり、同じ移民階層にはアフリカや中東からのイスラム信者も多く、彼らと身近に接し影響を受けやすい▼今回の報道では《10人以上のブラジル人イスラム教改宗者がSNS(社交サイト)を使ってブラジルに亡命したシリア難民に影響を与えようとしている》とある。当地に亡命した難民が、差別からテロに走ることはありえるのか…。ISは移民家庭の心の闇に忍び込む。問われているのは移民大国ブラジルの「国柄」か。(深)