日伯文化連盟(アリアンサ、中谷アンセルモ理事長)が、昨年からピニェイロス校の全面改築を進めている。近代的な設備を兼ね備えた文化センター構想を掲げ、総額260万レアルを投資する一大事業だ。3月30日夜にはサンパウロ市内レストランで事業説明レセプションを開き、支援を募った。創立60周年を来年に控え、今年10月の完成を目指している。
アリアンサは日伯の文化交流等を目的に1956年に設立された。南米有数の日本語教育機関となり、校舎はヴェルゲイロと文協ビル6階、改築中のピニェイロスの3カ所。学習者は約1500人を数えるという。
文化センター構想は大小の教室が10部屋、100人まで収容できる講堂、レストラン顔負けの近代的な料理講習室、高性能な視聴覚室などの設備を備えた校舎を建設するプロジェクトだ。和食、生け花、書道など日本の多様な文化に触れる環境を整える。
敷地面積は約750平米で、ソーラーパネルや再生水などを利用できるエコ設備も併せ持つ建物を目指している。
サンパウロ市内のレストランで先月30日夜、関心を持つ企業らを集め、事業説明会を開催した。福嶌教輝在聖総領事はあいさつで、「日系社会にとって日本語教育は重要。ブラジル人からも関心の高い団体だ」と賛辞を送り、サンパウロ州文化局長のマルセロ・マットス・アラウージョ氏も、「日伯交流に言葉は不可欠な要素。文化活動においても、より強化を期待したい」と話した。
仁井山進理事が登壇し、関係者を前にスライドで進捗状況を報告した。評議員会において予算80万レで採択し、14年7月に事業が始動。10月に校舎を取り壊し、現在は地上階を建設しているところ。
中谷理事長は「今まで無駄遣いを極力避けてきた。ケチケチした運営と見られたかもしれないが、それが今回の事業につながった」との喜びを語り、「教育環境の改善につながる。多種の日本文化に触れる機会を設けることで日本語学習へも関心が強まるはず」と展望した。
総事業費として260万レを見積もっており、180万レ足りない状況だ。「ルアネー法と免税口座団体(OSCIP)の認可も得た。すでに賛同を頂いた企業もある。素晴らしい教育環境を整えるために多くの支援を願う」と呼びかけた。
17日には役員改選を控えた定期総会がヴェルゲイロ校(Rua Vergueiro, 727 – 5 andar)で行なわれる。
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主要な日系5団体の中では、登場場面が少なめのアリアンサ。でもピニェイロスの文化センター構想により日本語教育、文化活動という点で存在感が高まっている。同地区にあるセントロ・ブラジレイロ・ブリタニコなど他国施設に負けないものを期待したい。ところで文協も昨年、大塚商会から1億円(約263万レ)という大型寄付があったが、ただの改修で終わり、「アリアンサの事業と比べるとやや見劣りする」という世間の声も。敷地面積こそ違えど、ほぼ同額なのに使い道の違いが表れてしまったような…。