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「軍警出て行け!死人はもう沢山だ!」と幕を掲げる抗議者(Tomaz Silva/Agencia Brasil)
「軍警出て行け!死人はもう沢山だ!」と幕を掲げる抗議者(Tomaz Silva/Agencia Brasil)

リオ州=ファベーラで軍警と市民が衝突=10歳の子供が巻き添えに=軍の駐留に反発する住民

 リオ市北部アレモン地区の複合ファベーラで1~2日、治安維持のために駐留している軍警治安維持部隊(UPP)と麻薬密売組織の抗争が続発し、住民4人が流れ弾で死亡したことで住民が一斉に反発、2~4日には連日の抗議デモが起こったと3~7日付の伯字各紙が報じている。
 住民の反発は、2日午後、10歳のエドゥアルド・デ・ジェズース・フェレイラ君が犠牲になったことで一気に高まり、3日午後は同地区のUPP本部を目指すデモ隊300人が主要道路を封鎖。270人の軍警が本部接近を阻もうとしてガス弾なども使用した。
 エドゥアルド君は2日午後、自宅前で遊んでいたが、両親の目前で流れ弾に当たって死亡した。母親のテレジーニャさん(40)は軍警の弾を受けて死亡したと主張している。軍警は彼女の見方を否定しているが、市警は該当する警官の銃を押収。軍警も路上勤務から外した。
 同地区住人は4日も反軍警デモを計画し、女性や子供を含む500人が、午前10時にデモを開始した。平和を求めて白いシャツを着、白い風船を振りかざしながら進むデモ隊は時折、「UPPは出て行け!」と叫び、警備の警官にも罵声をあびせた。
 フェルナンド・ペゾン同州知事は5日、アレモン地区の治安維持のため、UPP以外の軍警も駐留させると発表し、ファヴェーラ警備のためにUPP全体を見直し、一部UPPを増員する予定であることや、アレモンも重点強化地区の1つであることを明らかにした。同知事は翌日も、UPPは恒常的な治安計画であることやアレモン地区の完全な平定化は10~15年で達成されるものではないとの見解を表明した。
 エドゥアルド君の遺体は6日、父母の郷里のピアウイ州コレンテ市で埋葬された。父親のフェレイラさんは「息子を殺した者が裁きを受けるまで力の限り戦う」と表明。テレジーニャさんも、軍警を責めたことで脅迫も受けたが、軍警の追及を止める気はないと明言した。2人は調査に協力するためならリオ市に戻るが、今後は郷里で暮らす意向だ。